若者の未来を奪った事故

母・木塚美紀さん:
辛すぎます、毎日が。会いたい…

遺影の中から優しくほほえみかける男性、木塚國義さん(享年20)。

成人式を終えたばかりの2019年1月、仕事中に車の事故に巻き込まれ亡くなった。
夢は父親と同じトレーラーの運転手。

20歳を前に両親に宛てた手紙には、これまでの感謝と決意がつづられていた。

母・木塚美紀さん:
一歩一歩やけど頑張っていくから、よろしくお願いします」という手紙をもらった。「これからだ」って。これから…

希望にあふれていた國義さんに、当時何が起きたのか。

事故は「道路」ではなく、ふ頭に停められた「船の中」で起きた。
福岡市東区の香椎浜ふ頭に停泊していた貨物船の中で、事故は起きた。

國義さんはコンテナを積んだトレーラーの誘導員だった。

そこへバックしてくる一台のトレーラーが。

國義さんは運転手に笛で停止の合図をした後、左側のタイヤに車止めをするため、間を抜けようとした。ところがトレーラーが止まらず、もう一度笛を吹いたが、トレーラーはバックを続け、そのままコンテナとの間に挟まれた。

飲酒事故だが道路交通法が適用できず

大切な息子を失い、深い悲しみに包まれる家族。
そこへ追い打ちをかけるように、事故を起こした運転手の男から予期せぬ事実を知らされた。

父・木塚龍二さん:
酒を飲んだ後に事故が起きたと

ーー運転手の男が「酒を飲んでいた」と?

父・木塚龍二さん:
言った。自分たちにはっきり

死亡事故は、飲酒運転の末に起きていた。

警察が調べたところ、当時、運転手の呼気からは基準値の2倍近いアルコールを検出。しかし、運転手の男は過失運転致死の疑いだけでの書類送検となった。理由は、“貨物船の中”だったから

公道ではないため、飲酒運転を禁じる道路交通法が適用できない。

父・木塚龍二さん:
道路交通法で問えない、道路上の事故じゃない。そんなおかしな話ないでしょ

母・木塚美紀さん:
もし飲んでいなかったら、起きていなかったかもしれない事故なので。(飲酒運転が)問われないということが、納得いかず…

飲酒運転の罪に問えない事故は身近な場所でも起こりうると、法律の専門家は指摘する。

福岡大学法科大学院 平江徳子教授:
駐車場内でも、例えば奥で本当に車を止めるだけのスペースの場合は、道路にあたらないという判例も出ている。過失の程度の問題として、当然そこで量刑は加算されるとは思う。ただそれで(遺族に)納得いただけるかというと、どうなのかなと思う

飲酒運転なのに飲酒運転の罪に問えない。この矛盾に父親の龍二さんは…

父・木塚龍二さん:
今回の事故っておかしいじゃないですか、やっぱり。“法の改正”が必要だと思う

何年かかろうとも法整備を

飲酒運転をめぐっては、これまでにも法改正が進められてきました。

2006年8月25日、福岡市東区の海の中道大橋で、幼い兄妹3人の命が奪われた飲酒事故。社会に衝撃を与え、「同乗者」や「車両や酒の提供者」に対する罰則の新設につながった。

父・木塚龍二さん:
(法整備のために)やれるだけのことは、これから先何年かかろうとやっていく

息子の無念を晴らすためにも、同じような悲しみを抱える人を増やさないためにも、國義さんの両親は“法整備の必要性”をこれからも訴え続ける。

(テレビ西日本)

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