乗り降りの際にJR西日本が注意喚起
ワイヤレスイヤホンを付けた人を街中や電車内で見かける機会も最近多くなってきた。音源機器にケーブルで接続するタイプのイヤホンは、しばしばカバンの中でケーブルが絡まったり、他の人のカバンにケーブルがひっかかったりしてしまうことがあったが、音源機器と無線で直接つながるワイヤレスイヤホンはそうしたストレスと無縁だ。
しかし、その一方で新たな問題が起きている。
JR西日本列車運行情報(京都・神戸線)の公式Twitterアカウントが、8月27日にある投稿を行っているのだ。
こちらのツイートを見て欲しい。
「乗り降りの際、特にスマホ、ワイヤレスイヤホンをしっかりお持ちください。線路に落とされても絶対に線路におりないで!必ず駅係員に申告を!」
という、注意をうながす強い調子の言葉に続き、線路に降り立って落とし物を拾おうとする行為や、プラットフォームにいる人が落とし物を拾おうと線路に身を乗り出す行為を禁止するイラストも描かれている。JR西日本列車運行情報(おおさか東線)の公式アカウントでも、9月5日に同内容の投稿を行っていることから、JR西日本側がこうした事態を強く懸念していることがうかがえる。
ワイヤレスイヤホンはケーブルのわずらわしさから解放される一方で、ちょっとしたことで耳元から落ちてしまうというわけだ。
では、JR西日本が呼びかけるほど、ワイヤレスイヤホンの落下は実際増えているのだろうか? もしイヤホンを落とした場合、どのような対応をするのか?
JR西日本の広報担当者に話を聞いてみた。
ワイヤレスイヤホンの拾得は8月で587件
ーー8月末および9月にTwitterで注意喚起を呼びかけた直接の理由は何?
ワイヤレスイヤホンは、これまでホームから線路への落とし物にはあまりなかったのですが、このところ急に増加したことから、お客様に事実を知っていただき、お気をつけいただきたいという思いを抱き、Twitterで啓発をはじめました。
ーーワイヤレスイヤホンの落下問題はいつごろから目立つようになった?
ここ数年です。
ーーワイヤレスイヤホンの落下や拾得に関するデータはある?
今年の6月13日から、それまでの「イヤホン」に加えて、「ワイヤレスイヤホン」という項目を新たに設け、拾得データを取得するようになっておりますが、当月で265件に達しました。続く7月は549件と倍増、8月も587件と微増傾向にあります。9月についても今月末集計を行う予定です。
ーーどういった場合に、ワイヤレスイヤホンを駅などで落とすことが多い?
あくまで一例ですが、電車に乗り降りする際に他のお客様と接触したりすることで落とされることなどが考えられます。
ーー落下に関しては、朝夕の通勤通学の時間帯が多い?
今のところ顕著な傾向は確認できておりません。

線路へのイヤホン落下は「遅延につながります」
ーー実際、乗客がイヤホンを拾おうとして大事になったことはある?
私どもが知りうる範囲では、そのような事があったとの報告は受けていません。
ーーでは、ツイートは「今後そんな事態も起こると思われるから、警戒を呼びかけることで未然に防ぎたかった」と?
その通りです。
ーーもし駅員に申告した場合、どのような手順で探すことになる?
落とされた場所を確認後、そのホームに列車が入線しないよう、駅係員は列車運行の指令所に連絡。指令所は、そのホームに入線する予定の列車の運転士に対して停止するよう指示します。
その後、列車が確実に停止し、安全措置が完了したことを確認後、駅係員に拾得の許可をし、改めて作業に着手します。ただし、列車本数が多い時間帯など、すぐには安全措置が取れない場合があります。
ーーこうした拾得は列車の遅延にもつながる?
先ほど述べたとおり、一時的に列車を止める措置を取るため、当然遅延につながります。
ーーワイヤレスイヤホンが線路に落ちてしまうと探すのは大変?
バラスト(線路に敷き詰めた石)の中に入り込んでしまったり、暗い場所などもありますので、拾得が困難なケースが多いと聞いています。

ーーツイッターでの呼びかけなどを始めてから、状況は改善された?
まだ呼びかけを始めたところですので、粘り強く呼びかけていきたいと思います。
ーー最後に、ワイヤレスイヤホンのユーザーに対して、お願いしたいことは?
列車の乗り降りの際は、他のお客様と接触をすることで、思いがけず身に着けていらっしゃるものをホームと列車のすき間に落されてしまうことがあるようです。列車の乗り降りの際には、お気を付けいただければ幸いです。
そして、万が一線路に落とされても、安全のため絶対に線路におりないでください。
必ず駅係員にご申告ください。お客様・駅係員の命を守るため、駅係員が「列車が来ない手続き」が完了した後に拾得します。すぐには拾うことができませんのでどうかご理解ください。
ワイヤレスイヤホンはコンパクトで大変便利な一方で、落としやすかったり、落とすと小さいので見つからなかったりということがある。
幸いまだ大事故にはつながってないようだが、人の多い場所では周囲に意識を向けるようにするなど、注意を怠らないようにすることが必要だろう。