「辞めそうシグナル」がTwitterで話題

会社員であれば、上司や職場に少なからず不満を持つことがあるだろう。口には出さず、心の中で「会社を辞めてやる!」とまで思ったことも、もしかしたらあるかもしれない。そして実際に行動にうつした人もいることだろう。

そのような会社員の言動をうまく表現しているのか、今ツイッター上で「辞めそうシグナル」という言葉が話題になっている。

きっかけは、1万2000以上リツイートされている(9月27日現在)、あるTwitterユーザーのツイートだ。


「辞めそうシグナル」という言葉が印象的な、このツイートで引用されているのは、日本能率協会マネジメントセンターが作成している、人材育成の支援を目的とする通信教育のテキスト『1on1式 メンバーの育て方』の一部分。

「ことあるごとに上司に意見していたメンバーが急に素直に従うようになりました」という相談に対し、「辞めそうシグナルの危険性があります。察知したら、上司は速やかに対処しなければなりません」と回答しているのだ。

そして、扱いにくい面もあったメンバーが急に素直になると、「ようやく私の言い続けてきたことを理解できたようだ」と上司は安心してしまいそうだが、こうした変化が要注意と指摘。

急に態度を変えた理由は、「何を言ってもしかたない、自分が頑張るのは疲れた」という諦めの気持ちや、すでに退職を決意し、これ以上、上司とぶつかる必要もないという思いからくるのかもしれない、というのだ。

そのうえで、こうしたメンバーの態度の変化を「辞めそうシグナル」と呼び、5つの具体例を示している。

5つの具体例で「辞めそうシグナル」を紹介

1つ目が「何を言っても素直に返事をする」
「上司や会社に見切りをつけ、退職を決意しているかもしれない」のだという。

2つ目が「会議で積極的に発言しなくなる」
意見を求められた際、「まあ、それでいいんじゃないですか」は危険信号のようだ。

3つ目が「上司との対話が減る」
退職を悟られないよう、上司との対話を避けようとしている可能性があるという。

4つ目が「必ず定時で帰るようになる」
「転職を前提に、外部の人間と頻繁に会っているかもしれない」と指摘している。

5つ目が「スッキリした表情をしている」
この場合、退職を決意し、すでに転職先が決まっていてもおかしくないのだという。

最後に、これらの「辞めそうシグナル」をいち早く察知し、不満な点などを聞き出して改善に取り組むことで、優秀な人材の流出を食い止められる可能性が高まる、とアドバイスをしていた。

この内容に対しては「分かる分かる」など共感の声が多い一方で、中には4つ目の具体例「必ず定時で帰るようになる」に違和感を覚えている人も。賛否は分かれているものの、大きな反響を呼んでいることは確かだろう。

しかしなぜ今、この「辞めそうシグナル」に関心が集まったのだろうか? 日本能率協会マネジメントセンターの広報担当者に話を聞いた。

「辞めそうシグナル」の反響は“職場環境への不満”の高まり

――「辞めそうシグナル」が話題になっていることをどのように受け止めている?

大変、驚いています。

――大きな反響を呼んでいるのは、なぜだと思う?

このコースの趣旨としては、「1on1ミーティングを実施することによって、メンバーが自律して生き生き働いてもらえるようなマネジメントをしよう」というものなのですが、「辞めそうシグナル」の部分に関心が集まるということは、職場環境へのメンバーの不満が高まっていることが大きいのではないか、と考えております。

その状態を改善していくためにも、ぜひ上司の方には、「1on1ミーティング」を実践してほしいですね。

「定時で帰る人はすべて辞めそう」という解説ではない

――4つ目の具体例「必ず定時で帰るようになる」に違和感を覚えている人もいる。「これは辞めそうではなく、普通なのでは」という意見なのだが、これについては?

「定時で帰るのが当たり前では」というご意見は当然だと思います。しかしながら、実態として、若干の残業がある職場がほとんどではないでしょうか。

また、忙しい職場では、仕事に熱心に取り組む(と上司側が思っている)働き盛りのメンバーについて、「残業もいとわずに熱心に働いてくれているな」「モチベーションが高いな」という判断をしてしまっている上司の方がいらっしゃる、というのもよくあることかと思います。

そのような状況が常態となってしまっている場合、「急に定時に帰るようになった」という変化は、「辞めそうシグナル」になるかと思います。

今回、取り上げられていただいている箇所は、(あくまでも上司側の視点ですが)忙しい部門で、これまで熱心に業務に取り組み、残業も行っていたメンバーが、急に毎日必ず定時で帰るようになるとやめる可能性が高いということを辞めそうなシグナル例の1つとしてあげています。

「定時で帰る人はすべて辞めそうである」という趣旨の解説ではありません。

この前段では、「メンバーの業務量を観察する」といった内容があり、恒常的に所定時間内で業務をこなせていないメンバーがいる場合、時間をとって業務内容を洗い出して、適切な業務量になるよう調整する必要があることを解説しています。

本コースの学習内容はそれを未然に防ぐために、「1on1ミーティング」を効果的に活用することを学習いただくものです。

シグナルを察知したら、対話の場をもつことが重要

――社員の「辞めそうシグナル」を察知したら、上司や同僚はどのように対処すればよい?

まず、上司は対話の場をもつことが重要です。その際、上司が説得するのではなく、メンバーの話を聞くことが大切です。

テキストでも解説しておりますが、メンバーが何を考えているのか、どういった問題点を感じているのかを、しっかり聞き切ることが求められています。正論を語ったり、自分が納得するためでなく、主役はメンバーであることを忘れないようにしてください。



Twitter上で共感を呼んでいる「辞めそうシグナル」。その反響の理由を日本能率協会マネジメントセンターは「“職場環境への不満”の高まりをあらわしている」と分析していた。

この「辞めそうシグナル」の察知は、今の上司には必要なスキルではないだろうか。日々の業務で忙しいかもしれないが、部下からのシグナルはぜひとも見逃さないのほしい。