防犯カメラの映像から特定人物を1秒以内に発見

2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、テロ対策が課題となっている。

そのテロ対策においては、近年、多数の防犯カメラを用いるセキュリティシステムのニーズが増加。それに伴い、監視・警備業務の負担も増加し、効率化が期待されている。

こうした中、日立製作所と日立産業制御ソリューションズが、監視・警備業務の効率化につながる“画期的なシステム”の販売を10月7日から始めた。

日立製作所が開発したAI(人工知能)画像解析技術を活用し、「防犯カメラなどの映像から特定の人物を高速で発見し、足取りまでも追跡するシステム」だ。

防犯カメラで撮影された人物の数万人規模の映像解析データに対し、性別、年齢層、服装、所持品など100項目以上の“全身の特徴”から特定の人物を1秒以内で検索・発見し、防犯カメラの位置情報や撮影時刻を使って、“足取り”を追跡するもの。

また、このシステムでは、防犯カメラの映像から顔を識別できない場合でも、人物の特徴から発見・追跡が可能。
さらに、「顔の画像をもとに特定人物を発見する既存のシステム」と比べて、判別精度が3倍以上に向上している。

顔を識別できなくても、全身の特徴から特定人物を発見

では、どのようにして、“全身の特徴”から特定の人物を発見するのか?

たとえば、「青い上着」を着て、「黒いショートスカート」を履いて、「黒いバッグ」を持った「女性」の不審者を探したい場合、それらの特徴をチェックボックスで選択して、検索。

提供:日立産業制御ソリューションズ
提供:日立産業制御ソリューションズ
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1秒以内に不審者の候補が画面に表示されるので、その中から不審者と思われる人物を選択。

提供:日立産業制御ソリューションズ
提供:日立産業制御ソリューションズ

すると、その人物の足取りまでも、地図上に表示してくれるのだ。

提供:日立産業制御ソリューションズ
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このシステムによって、駅や空港、商業施設での不審者の早期発見だけでなく、防犯カメラの映像の目視による監視といった業務の負荷軽減や効率化につながるのだという。

画期的なシステムだが、顔を識別できなくても精度が高くなったのはなぜなのか?また、不審者を発見・特定する以外ではどのような使い道があるのか?
日立産業制御ソリューションズの広報担当者に話を聞いた。

「顔の画像の解析には高度な技術を要することがある」

――解析する“全身の特徴”は「性別」「年齢」「服装」「所持品」以外にはどのようなものがある?

他の項目としては、「髪型」、「髪の色」、「服の色」などがございます。

たとえば、「男性」、「年齢は30~40代」、「髪型は短髪」、「髪色は黒」、「上半身はジャケット」、「ジャケットの色はグレー」、「下半身はスラックス」、「スラックスの色はグレー」、「持ち物はスーツケース」といった情報を抽出します。

――「顔の画像をもとに人物を特定する既存のシステム」と比べて、判別精度が3倍以上に向上。この理由として考えられることは?

顔の画像から検索・特定する場合、一般的に防犯カメラの映像は、正面の画像でなく、斜めからの撮影データになるなど、顔の画像の解析に高度な技術を要することがあります。

これに対し、外見の特徴をもとにする場合は、防犯カメラの映像から全身の特徴を抽出し、さらに複数の項目で細かく絞り込むことにより、特定したい対象を判別する精度が高くなっています。

――不審者を発見・特定する以外では、どのような使い道がある?

商業施設では、迷子になったお子さんを探すことも可能です。


不審者を発見・特定する際に大きな力を発揮する、このシステム。
商業施設、公共施設における“来場者の行動分析”などに応用することも可能だとしている。

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プライムオンライン編集部
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