10月も中旬に入り、しつこい暑さからやっと解放されてきたが、姫路市役所がこの夏に行っていたエアコンの設定温度にまつわる“検証”のことを覚えているだろうか?

7月1日、同市の清元秀泰市長が、今夏の市役所本庁舎内のエアコン設定温度を28℃から25℃に下げることを発表した。

これは、「労働環境を快適にして仕事の効率を高めたい」との思いから、働き方改革の一環として実施したもので、実施期間は7月16日~8月31日の午前7時~午後8時の間。

市役所で働く人にとってはありがたい話ではあるが、地球温暖化対策の一環として、冷房時の室温28℃を目安に夏を過ごすライフスタイル「クールビズ」を推進する環境省の方針と異なるため、その試みは話題となった。
当時、編集部の取材に対し、姫路市役所は「本庁舎で働く職員に後日アンケートを実施し、総合的に検証していく予定」と回答していた。
(参考記事:クールビズからの転換!? 姫路市役所がエアコンの設定温度を「25℃」に下げた狙いを聞いた

姫路市が検証結果を発表、25℃設定は「有効な取り組み」

そして10月7日、清元市長は、この検証結果を定例記者会見で公表。回答期間は、8月21日~9月6日にかけてで、職員1518人のうち、1082人が回答を寄せたという。

その回答の一部をみてみると、

・25℃の室温設定が「ちょうどよかった」が79%
・勤務後の疲労感が「かなり軽減された」「少し軽減された」が83%
・業務効率が「とても向上した」「少し向上した」が85%
・就業意欲が「かなり高まった」「やや高まった」が83%

と、やはりほとんどの職員は今回の試みを高く評価していることがわかった。
そして、「業務効率が向上した」との言葉通り、職員の残業時間が、7月8月の2ヵ月間で前年同月比1万7,034時間も減少する(減少率14.3%)という成果をもたらしたとのことで、人件費は約4千万円の削減となった。

ここまでは、予想通りいいことずくめだが、気になるのは環境面のこと。こちらは、電気使用量は1.8%減少で経費は130,466円減少。ガス使用量は6.3%増加で201,112円増加。
光熱費としては約7万円の増加、温室効果ガス排出量は微増にとどまったという。

この結果に、市役所は「室温25℃設定は、職員の疲労感の軽減や職場の時間外削減にも寄与しており、働き方改革に有効な取り組みであることが確認できたため、来年度以降も実施する。なお、温室効果ガスの排出など環境への影響については、引き続き注視する」と結論づけている。

蓋をあけてみると、環境面でもそこまで悪影響を及ぼさず仕事の生産性が上がったという結果だったが、市役所側はどう受け止めているのか? また、環境省から何らかのリアクションはあったのだろうか?
姫路市役所人事課の担当者に話を聞いた。

豪雨や台風対応が昨年ほどなかったことも影響

この記事の画像(3枚)

ーーこの結果についての分析は?

25℃設定の試行実施による、労働環境の改善のほか、豪雨や台風対応が昨年と違ってなかったことも時間外勤務の減少に影響したと考えています。

ーー当初の予想以上の成果が出たのはどの部分?

今年の平均最高気温は、7月は昨年より4.6℃、8月は1.8℃低かったため、電気、ガスの使用量が思っていたよりも少ない結果となったことです。

ーー前回、「労働環境の快適化で、オフィスの稼働時間を減らせれば、結果的に電力消費量が減ることはあり得る」と答えていたが、次回さらに改善できそうな余地はありそう?

現在のところ、決まっておりません。

「環境省から結果についての問い合わせがありました」

ーー他県の関係者、または市民の感想はあった?

好意的な意見が多いです。他の自治体から実施内容についての問い合わせが数件ありました

ーー環境省から何か反応は?

結果についての問い合わせがありました。

ーー次回の試行内容は現在のところ、今回のケースと同じ? 多少の変更を加える予定?

特に決まっておりません。

姫路市役所によると、災害対応が昨年ほどなかったことも残業時間の減少には影響しているとのことではあったが、予想以上の成果を収めたといえるエアコン25℃設定。
クールビズを推奨する環境省の関心も引いていたようだが、来年以降、働き方改革も絡めた快適かつ環境にも優しいエアコン設定温度の見直し議論になっていくのか興味深い。


「変わらなきゃ!働き方改革」特集をすべて見る!

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。