秋田県内では今秋、クマの目撃情報は多くはありませんが、LiveNewsあきたが実施したアンケートでは、回答した2人に1人がクマを目撃したことがあるほか、約6割がクマの脅威を感じていることが分かりました。
大仙市・50代女性:
「美郷町のあったか山の温泉の近くでクマを見た。ニュースでは聞いていたが、本当にいると思ってびっくりした」
秋田市・70代男性:
「高速道路でクマを見た。大きな犬だと思った」
秋田市・30代男性:
「北秋田の方で見た。遠くから見たら子犬、近づいたらクマで、いるのだなと思った」
LiveNewsあきたは、AKTアプリでクマに関するアンケートを実施し、205人から回答を得ました。
「クマを目撃したことがあるか」という問いに対しては、約5割が「はい」と回答しました。つまり、2人に1人がクマを目撃したことがあるということになります。
さらに、目撃した人の半数が、目撃場所を「市街地」と回答しています。
「クマの脅威を感じたことがあるか」という問いには、約6割が「はい」と答えました。
脅威を感じた場面を聞いたところ、自宅や職場の近くでの目撃や遭遇体験を挙げる人が目立ちました。
大仙市・20代女性:
「油断している時だからこそ、ぱっと出没したときに対処できるか不安」
仙北市・70代男性:
「出くわした時にどうすればいいのかが一番心配。逃げるわけにもいかない」
アンケートでは併せて、県民が普段不安に思っていることやクマに関する疑問を聞きました。
そして、皆さんの不安や疑問を、クマの生態を研究する東京農業大学の山崎晃司名誉教授にぶつけました。(※山崎名誉教授の「崎」は「たつさき」)
まずは、遭遇時の疑問についてです。
【Q.遭遇したら走って逃げたい。後ずさりした方が助かる確立は高いのか】
山崎名誉教授:
「遭遇時は、それ以上クマを驚かせないことが大事。走って逃げれば反射的にクマが追いかけてくる。クマの方を向いたまま、クマの動きをできるだけ冷静に見る。できれば後ずさり。できないのであれば、その場にとどまっても良い」
【Q.防御姿勢はどのタイミングで取ればいいのか】
山崎名誉教授:
「顔を狙ったクマのパンチを受ける前に防御姿勢。それができなければ、倒された後に防御姿勢。出合った瞬間の防御姿勢はやめた方がいい。しっかりクマの動きを見た方が良い。ダンゴムシのようにまるまる姿勢でも、平べったくうつ伏せでも、どちらでも良い。大事なことは、クマは人を襲う時に人を転がす。ひっくり返されると顔などに攻撃を受ける可能性があるので、ひっくり返されないようにふん張る。ひっくり返されたらすぐ戻る」
山崎名誉教授によりますと、クマに襲われた人の8~9割が顔や頭にけがをしています。遭遇した時は慌てず、クマを刺激しないこと。「顔や頭を最優先で守ってほしい」と話していました。
一方で、誰もクマには出合いたくありません。出合わないための対策が重要です。
アンケートでは、100人が「クマ対策をしている」と回答しました。
最も多かったのが「クマ鈴やラジオなど音の鳴るものを携帯する」というもので、約60人が実施していました。
遭遇防止対策に関する疑問も山崎名誉教授に聞きました。
【Q.クマ鈴は本当に効果があるのか。音に慣れてしまったクマもいるのではないか】
山崎名誉教授:
「クマ鈴を気にしないクマ、その音を気にしないクマが一定数いる可能性は高い。けれども、クマ鈴の場合には人の存在を穏やかに知らせる。驚かせて追い払うのではなく、人がこれから行くのだと知らせる合図。持っていた方が良い」
【Q.クマは渋柿も食べるのか】
山崎名誉教授:
「渋いこと自体にクマはあまり抵抗はない。苦いものや人が食べられないような果実でも食べるため、渋柿も食べる」
【Q.クマの好きなにおいはあるか】
山崎名誉教授:
「ガソリンやペンキ、防腐剤に使うようなクレオソートなど。発酵したにおいも好き。見落としがちなのが、秋田でも時々飼い犬がクマに襲われる。最初は恐らくドッグフードを狙ってクマが来る。あと家畜飼料。ニワトリの餌もクマを呼ぶ。嗅覚が人間の数万倍優れているので、3~4キロ離れた場所からも来る」
【Q.山に出かけるのは控えるべきか】
山崎名誉教授:
「クマがいるから山に入ることを控えている人が結構いる。しかし、かえって山の中の人の活気が失われる。十分な対策をした上で、どんどん山に入ってほしい。山菜採り、タケノコ採りのようなクマと競合するものは、場合によっては自粛した方が良いが、それ以外の普通の山の利用はどんどんしてほしい」
山崎名誉教授は、山登りに出かける時の対策として「音の鳴るものやクマ撃退スプレーを携帯すること」「帽子や手袋の着用」を挙げていて、不安な場合は「ヘルメットの活用」を検討してほしいということです。
音の鳴るものがなければ、手拍子をしたり、大声で話したりするのも効果的です。
アンケートではこの他、行政に対する質問や要望も多く寄せられました。
1つ目は「クマの捕獲頭数を知りたい」というものです。
秋田県はホームページで、市町村別に月ごとの捕獲頭数を公表しています。
それによりますと、2026年度のクマの捕獲数は、10月16日時点で361頭。最も多いのは鹿角市で、68頭が捕獲されています。また、県内で捕獲されたクマは、全て駆除されています。
2つ目は「クマ対策用品の購入に何らかの補助がほしい」というものです。
県は「補助制度を設ける予定はない」と回答しました。私たち一人一人が命を守る行動や対策を考える必要があります。
最後に「箱わなの設置場所を公表してほしい」という意見について県に聞きました。
県は、わなにいたずらされる可能性があるほか、近づけばクマと接触する危険があるため、公表を控えているということです。
アンケートにご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。
2026年の秋は、クマの目撃件数が2025年より減少していますが、いつでも、どこでも、誰でもクマに遭遇する恐れがあることは変わりません。
いざという時にどうするか、日頃から考え、備える必要があります。
