高市総理が先月行った内閣改造から1カ月あまり、新閣僚をめぐる問題が相次いでいます。
簗和生前農水大臣の辞任に続き、複数の閣僚に疑惑が浮上するなか、政治ジャーナリストの青山和弘氏は「危機感が低かった」と指摘します。
高市総理の“誤算”とは何だったのか、今回の問題で明らかになった“問責決議案”の効力など、青山氏が解説しました。
■ 内閣改造から1カ月あまり、閣僚の問題が相次ぐ
高市内閣の閣僚たちに問題や疑惑が相次いでいます。
簗前農水大臣は、「道路予算カット発言」に加え、選挙期間中に有権者をバスで送迎した問題などが浮上し、辞任しました。
そのほか関芳弘文科大臣は議員会館で政治資金パーティーを開いた問題が指摘され、中司宏規制改革担当大臣は、過去の事件に関連した新たな音声データについて、国会で追及を受けました。
簗氏の後任・武部農水大臣についても、一部週刊誌で違法献金疑惑が報じられています。
■ 第一の誤算は「低かった危機感」
まず青山氏は「新任大臣のスキャンダル・疑惑と言って、一緒に並べるが、濃淡があり、最も重大なのは、簗氏の予算カット発言」と指摘し、発言は「予算を背景に選挙民を“恫喝・報復する”ような発言」と表現しました。
その上で青山氏は、この簗氏の問題で高市総理に一つの誤算が生まれたと分析。
これまで、高い支持率を背景にさまざまな大臣のスキャンダルを誰も更迭せず、「仕事をさせる」ことで対処してきたことから、「今回も同様に乗り切れると考えていたのは間違いない」と話します。
その結果、高市総理は「危機感が低かった」とし、事実上の更迭となる辞任まで2週間かかり、「対応が後手に回ってしまった」と説明します。
【青山和弘氏】「問題が大きいと思えば、すぐに更迭すれば、それほど国民に知られることもなく問題が収束する可能性もあった。長引かせれば長引かせるほど、報道されて問題が大きくなり、危機管理能力の低さが目立った結果となりました」
■ 第二の誤算は変わった永田町の空気
もう一つの誤算として青山氏が挙げたのが、永田町の空気の変化です。
簗氏を更迭したことで「ほかにも更迭すべき人がいるのではないか」という見方が、自民党内でも広がったといいます。
野党も勢いづき、マスコミの目も他の閣僚に向かうようになりました。
■ 「身体検査が甘すぎる」の声と国家情報局
また、関西テレビの取材によると、自民党関係者からは「身体検査が甘すぎる」という声が聞かれました。
身体検査とは、大臣など要職に就く国会議員に問題がないかをチェックすることです。これを担うのが国家情報局という組織で、そのチェックが甘いのではないかとの指摘が出ています。
この点について、国家情報局の関係者は「(身体検査をしても)合格判定はしない=『問題がないかどうか』の判定はしない。プロフィール情報を上にあげるだけで決めるのは官邸」と話しました。
青山氏はこの調査について「徹底したものではなく、すでに出ているネット情報や、警察や官僚組織が持っている情報を集める程度で、深い調査をしているわけではない」と述べつつ、次のような指摘もしました。
【青山和弘氏】「今回、永田町で言われているのは、一度不祥事で辞任した大臣の後任大臣なので、これまでの政権なら『もう少し詳しくやってくれ』などと注文を付けただろうということで、温度感が低かったと指摘されている」
■ 第一次安倍政権の「辞任ドミノ」といま
青山氏が「政権にとって避けないといけない」と指摘するのが、不祥事で辞任が連鎖する“辞任ドミノ”です。
例えば、第一次安倍政権では、1年足らずの間に5人の大臣が政治と金の問題などで辞任に追い込まれ、内閣退陣にまで至りました。
当時の永田町も取材していた青山氏は、現状を次のように見ています。
【青山和弘氏】「このときに似てきたという人もいますが、まだそこまでは至っていません。まさに今、入口に立っているかどうかという状況だと思います」
そのうえで、火種を抑えていくことが高市政権に何よりも求められると強調しました。
■ 国会審議と問責決議案という「カード」
その「火種」となりうる課題が高市政権の目の前に山積しています。
今の国会では、食料品の消費税減税、議員定数の削減、安保三文書の改定などが控えていて、消費税については、来年4月の引き下げを目指しています。
青山氏は、2つの法案はどうしても通したいものだとしたうえで、簗氏の辞任問題で改めて“問責決議案”の効力が明らかになったと述べました。
【青山和弘氏】「今、参議院は与党が過半数を割り込んでいます。無所属の議員などを足して法案を成立させてきましたが、不祥事が大きいと“問責決議案”を出され、参議院がその大臣を不適格だと認定する可能性が出てきます。
そうなると法案の審議も立ち行かなくなります。そういう意味で“問責決議案”というカードが野党側にあることが、浮き彫りになりました」
最後に青山氏は、「これを避けるためには、不祥事があっても早く芽を摘む、そして何よりも不祥事を起こさない。こうしたことが、高市政権の“帰趨(すう)”にも大きく影響してくると思います」とまとめました。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月22日放送)
