特集は麻酔を使って出産時の痛みを和らげる無痛分娩についてです。近年、全国で急速に広がっていますが、宮城県内では全体の分娩数のうちわずか5パーセントに留まっています。県は安全な無痛分娩の提供体制を整えようと、今年度から東北大学病院と連携した新たなモデル事業を始めています。それは、安全な無痛分娩に対応できる人材の確保です。
富谷市にあるレディースクリニックです。
「いつもと同じように超音波の検査をします。こちらにお願いします」
この日、10月、出産を控えた女性が健診に訪れていました。
無痛分娩で出産予定
「産まれてからも育児は続いていくので家族や母からも出産は大変だったと聞いているので、初めてのお産から無痛が選択できたので、チャレンジしてみようかと」
女性が選択したのは自然分娩ではなく「無痛分娩」です。
そもそも、無痛分娩とはどういったものなのでしょうか。
新富谷S・Sレディースクリニック 櫻田昂大副院長
「陣痛の痛みを和らげ、お母さんの緊張をほぐす、それにより落ち着いて過度な血圧上昇を抑えながら、分娩にのぞめることがメリット」
出産時の痛みは人それぞれですが、ほとんどの人が大変な痛みだったと話します。
一方、無痛分娩は麻酔を使って痛みを和らげることを目的とした出産方法です。
具体的には背中から針を刺しカテーテルという細い管から、麻酔薬を注入して下半身に麻酔をきかせ痛みを和らげます。
このクリニックでは去年12月から無痛分娩を行っていて、こちらの女性は9月、2人目の出産で無痛分娩を選択しました。
9月 無痛分娩で2人目を出産
「メリット、デメリットも聞いたうえで、やってみたいなと。痛みを経験したこともあるので、産後の回復が違うかなという希望も込めて選択しました」
その時の映像です。
「頭抜けたところですよ」
痛みが和らぐことで不安が取り除かれ、出産が楽しい思い出になり産後の回復も早かったそうです。
9月 無痛分娩で2人目を出産
「出産翌日の痛みもほとんどないし、普通に歩けるし、回復はすごく早いと思う」
Q.無痛分娩を選択してどう?
「良かったと思う」
こちらのクリニックでは無痛分娩を選択した場合、自然分娩よりも15万円の費用が追加でかかりますが、それでも、およそ半数が無痛分娩で出産しているそうです。
全国で分娩全体の数が減る中、日本産婦人科医会によりますと、無痛分娩の件数は年々増えていて、おととしは分娩全体の13.8パーセントを占め、5年前と比べ2.8倍ほどに増加しました。
一方で、県内で無痛分娩に対応している施設は全体のわずか3割に留まっています。
無痛分娩は麻酔が誤った場所に入るなどした場合、重篤なものも含め、合併症などのリスクが伴うため、安全性を確保するには、十分な知識を持った医師やスタッフが必要不可欠です。
こうした中…。
「無痛分娩の硬膜外麻酔によって母体死亡が発生している。安全が何よりも大事ということを共有させてほしい」
県は無痛分娩のニーズの高まりを受け、安全な無痛分娩の提供体制を整えるため、今年度から東北大学病院と連携し、新たなモデル事業を始めています。
東北大学病院の経験豊富な麻酔科医などが、無痛分娩の対応について、レクチャーを行うというものです。
この日は県内の公立病院の産婦人科医などが参加し、麻酔中に妊婦が急変した時の対応を学びました。
先生「声出しづらい?息しづらい感じ?」
妊婦「息しづらいとうか声が出しづらい感じ」
麻酔の使用は医師免許を持っていれば、必ずしも、麻酔科医でなくても対応できます。
それでも、もしもの場合、より専門的な知識が問われるため、こうした研修が持つ意味は、非常に大きいといいます。
研修に参加した産婦人科医
「無痛分娩は安全という一番大事なところのうえで成り立っている医療なので、急変が起こる前の症状やバイタルサインの変化などにどうやって気付いていくか、その疑った時にどう対応していくか、改めて確認できて良かった」
東北大学病院産婦人科 富田芙弥助教
「一次施設(クリニックなど)の場合は、産婦人科の先生が麻酔を担当することが多いが、他の普段の産婦人科診療をする人手が別に必要になったりするので、無痛分娩をするための麻酔担当者、もしくは麻酔科医を確保するっていうところが、宮城県では今までなかなか難しかった。シミュレーション事業を通して自分の施設で安全性を高めるには、どうしたらいいのかを考えてもらえるきっかけになるといい」
県と東北大学病院は安全な無痛分娩を行える人材の確保が必要だと考えています。
東北大学病院産婦人科 富田芙弥助教
「無痛分娩をするしないは、最終的には本人の希望になると思うが、希望する人が施設がないので、無痛分娩ができないというよりは、安全性が担保された施設があって、無痛分娩で希望する人が選べるのが理想の環境と思っている」
