ベトナム戦争中にアメリカ軍が散布した枯葉剤の影響で結合双生児として生まれ、現在も健康被害と闘い続けるグエン・ドクさんが、鹿児島県を初めて訪問した。10月11日、出水市では水俣病の関係者らとの意見交換会が開かれ、「負の遺産を後世に残さない」という共通の思いが語られた。
結合双生児として生まれ、1988年に分離手術
ドクさんは1981年、双子の兄・ベトさんと下半身が結合した状態で誕生した。枯葉剤による影響とされており、1988年に行われた分離手術は日本でも大きなニュースとなった。現在もその後遺症と向き合いながら、被害の実態を訴える活動を続けている。これまでに日本を60回近く訪れているというドクさんにとって、鹿児島県内への訪問は今回が初めてだった。

霧島市でのチャリティーコンサートに合わせて鹿児島へ
今回の訪問は、霧島市で開かれるチャリティーコンサートに合わせたものだ。枯葉剤と水俣病、そして原爆――いずれも有害物質による深刻な健康被害という共通点を持つ。その接点を活かし、水俣病関係者との交流を図ろうと、出水市での意見交換会が企画された。
ドクさんは会の中で、これら三つの被害が抱える深刻な後遺症の問題に触れながら、「負の遺産を後世に残さない努力が必要だ」と語った。参加者からは「感激した。もう苦しみはこれでいいんじゃないですか、長すぎる」という切実な声も上がった。

「公害を垂れ流しさせない社会づくりへ」
日本ベトナム平和友好連絡会議の川路孝・鹿児島支部会長は、「公害を垂れ流しするようなことをさせない社会づくりに向けて頑張らなければいけない」と力を込めた。水俣病も枯葉剤被害も、「問題解決まで付き合っていきたい」と述べ、地域を超えた連帯の意志を示した。

被害の種類や場所は違っても、苦しみが世代を超えて続くという現実は共通している。苦しみを抱えながら声を上げ続ける人々が出水の地でつながった一日となった。
【動画で見る▶ベトナム戦争時の枯葉剤被害者・ドクさんが鹿児島訪問 水俣病関係者と交流 】

