スイーツをコースで味わう——新進気鋭のパティシエが手掛けるそんな珍しいスタイルの新店が富山県高岡市にある。さらに高岡駅近くには、2000冊以上の本に囲まれながらゆったりと過ごせるブックカフェも存在する。秋の深まりとともに訪れたい2つの場所を紹介する。
「秋の訪れから冬の訪れまで」 6品のスイーツコース


高岡市大手町に先月オープンしたばかりの「メゾン・ドゥ・ヴェール」。濃厚テリーヌで知られる砺波市の洋菓子店が手掛けた新店で、焼き菓子や生菓子など約60種類が並び、カフェも併設されている。


オーナーパティシエの藤井雄大さんは、日本最大級の洋菓子コンクールで銀賞を受賞した経歴を持つ。その藤井さんが提案するのが、スイーツのコースという富山では珍しいスタイルだ。

「富山県だとあまりないかもしれないですね。コースの構成としては秋の訪れから冬の訪れまでを感じてもらえるコースになります」


コースはまず、産地も濃さも異なる5種類の豆からドリップコーヒーを自分で選ぶところから始まる。コーヒーはワイングラスで提供され、香りをより深く楽しめる趣向だ。

最初に運ばれてくるのは、マスカットとクリームチーズを組み合わせたサラダ。パリパリの食感とともに秋の味覚を楽しむ一皿で、藤井さんは「シャインマスカットの甘みが増す構成になっていて、より料理に近いが、パティシエらしさも残した一品」と語る。



メインはフォンダンショコラ。チョコレートが最もおいしく感じられる秋に合わせ、中にはオレンジのソースとグレープフルーツを忍ばせた。「濃厚だけど、さっぱり終わっていただきたい」という藤井さんの言葉通り、口の中にはチョコレートの豊かな香りだけが残る。


コースは全6品。完全予約制で、10月末まで平日には空きがあるという。


ジャケ買い2000冊 秋の夜長に本と向き合う場所


高岡駅から歩いて約10分の場所に、もうひとつの秋の居場所がある。「BOOK&CAFE 松キ」だ。

店主の松城裕貴さんは、関東から富山にUターンし、3年前にこのブックカフェを開いた。店内には小説、エッセイ、漫画など2000冊以上が並ぶ。その大半が読み切りの単行本やコミックで、松城さん自身がジャケ買いで選んだという本たちだ。

「この表紙いいなっていうジャケ買いってやつですね。ジャケットで選んで、レビューいいなって思ったら買うという感じ」
棚にはさらに、個人が自由な発想で制作した冊子「ZINE」も数多く並ぶ。個性的な表現に出会えるのも、この店ならではの魅力だ。

松城さんが秋の夜長に勧める漫画を2つ紹介してもらった。
まずは、タイトルだけで不思議な世界に誘われそうな「1ページ先、奇妙を右方向です。勝見ふうたろー作品集」。(著者 勝見ふうたろー)


「この作者さんが高岡出身の方で、うちのお店にお越しいただいたこともあって、うちで作家活動をしていただいたりしていたので、それをきっかけに知ったんですけども。人間誰しも持っているような焦りとか、孤独感、どちらかというと、負の感情をものすごい上手な漫画の演出で、奇妙な物語に仕上げている。まるで映画とかドラマを見ているような感覚になれる作品です」
もう一つは池辺葵さんの「どぶがわ」。とある町を流れるどぶがわと、その川沿いに暮らす人々の群像劇だ。


「みんなそれぞれ苦悩を抱えてはいるんですけど、非常に自分で自分の機嫌の取り方が上手なんですよ。読み終わったあとに、悩みに対してとか、幸せとは何かとか、そういうものに対して、もうちょっと肩の力を抜いて、いい形でひたむきに向き合えるようになりそうな作品です」
店主お勧めの本を手に、軽食やドリンクを楽しみながら読書に没頭できる空間がそこにある。


スイーツとブックカフェで心をほぐす。今年の秋は、そんな時間の使い方をしてはいかがだろうか。
(富山テレビ放送)

