相次ぐ企業を狙ったサイバー攻撃。交通や物流など私たちの生活を支える企業にも被害が広がるなか、専門家は、攻撃者がAIを取り込み、新たなフェーズに入っていると指摘します。一連のサイバー攻撃の実態と、私たちが取るべき対策を取材しました。
「焼肉きんぐ」、大和証券も不正アクセスを報告
日本経済新聞は4日、社員の業務用アカウントがサイバー攻撃を受け、社員になりすましたメールが社内や取引先などにおよそ9000件送信されたと発表しました。

一方、カーシェアリングサービスのタイムズカーは、運転免許証の画像など、本人確認書類およそ160万件が漏えいしたことを発表しました。集団訴訟に向けたサイトへの登録はこの週末に急増し、開設から6日間で3万7000人以上(5日午前9時時点)に達したということです。
そして5日には、「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーションが、公式アプリの会員管理システムが第三者からの不正アクセスを受け、登録されている個人情報が漏えいしたと発表しました。漏えいしたのは氏名や電話番号、メールアドレスなどの個人情報、約1080万件で、クレジットカードなどの情報は含まれていないとのことです。

また、大和証券も利用者からのインターネット経由での問い合わせ内容などの管理を委託している会社が不正アクセスを受け、約11万人分の氏名や口座番号など個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。
生活に関わる大企業が相次ぎ被害
企業への不正アクセスやサイバー攻撃は、実際にどれぐらい起きているのでしょうか。9月25日から10月4日に限ってイット!が調べたところ、11件あったことが確認できました。
中身をみてみると、京王電鉄や東京メトロといった交通機関や、ヤマト運輸や佐川急便といった大手の配送業者など、生活に関わる大企業が相次ぎ被害を受けていることがわかります。
街の人たちも、普段の暮らしのそばまで、こうした被害が入り込みつつあることを肌で感じているようです。
20代:
非通知の電話は増えたなっていう。どこから漏れてるかわからない部分もありますし、1つが漏れたら数珠つなぎで、もうあちこちから漏れてるような。
――対策は?
今までパスワードを使い回していたが、新しいパスワード作って、それを使うようにしています。
50代:
「至急外務省に来てください」とか言われたので、国際電話みたいな番号からで、「ちょっとおかしくないですか」って一応聞いたら、「今はそういうもんです」みたいなこと言われたんですけど。「どこどこにお住まいの誰々さん」みたいな名前まで言われちゃうと、詐欺に違いないだろうと思いながらも、一瞬「あれ?」ってなんかドキドキする。
「クレジットカードの番号を入れるのが怖い」
実際に被害に遭った人もいました。
30代:
ネットショッピングで買い物をして、そこでクレジットカードの番号とかを入れたんですけど、多分そこで情報が流出しちゃって。心当たりのない利用がいっぱいあったので、「これはおかしいな」と思って、カード会社に電話しました。
被害額はおよそ8万円。全額返金されたといいますが、それ以来はコンビニ決済にしているといいます。
30代:
クレジットカードの番号を入れるのが怖いので、コンビニ決済にして、自分の情報を入れないようにしています。
一連のサイバー攻撃「目的はっきりせず」 ハッカーのレベル上昇?
相次ぐ企業に対するサイバー攻撃について、マクニカのセキュリティ研究センターでサイバー攻撃の動向などを分析している瀬治山豊さんに話を聞きました。

これまでのサイバー攻撃は、人間がセキュリティーの穴を見つけるというような作業でしたが、今回の一連のサイバー攻撃は、短時間かつ広範囲にいろんな企業が狙われていることから、AIが作業を担っている可能性があるということです。

では、いったい誰が何の目的で攻撃をしているのでしょうか。瀬治山さんによると、これまではランサムウェアのようなサイバー攻撃を行い、金銭を要求するなど目的がはっきりしていたものが、今回の一連のサイバー攻撃は目的がはっきりしていないということです。また、海外ではここまでの規模の攻撃というのは発生しておらず、日本が狙われている可能性もあるということです。
そして、企業のセキュリティーレベルが上がっているものの、攻撃者側がAIを攻撃に取り込むスピードがかなり早く、攻撃者側が有利な状況になっているため、今回の攻撃は、新しいフェーズに入っているということです。
被害を最小限にするための対策
瀬治山さんによると、残念ながら私たちが直接的にできることはないが、被害を最小限にするためにできることがあるとすると、情報漏えいの当事者になった際には、不正に何かが使われた形跡がないかチェックすることが大切だということです。

例えばクレジットカードの利用明細で、使った覚えのないものなどないかチェックすること、また、漏えいした個人情報を使ってやってくる、偽の警察詐欺などにも注意してほしいということです。
(「イット!」10月5日放送より)

