今年3月に閉館した富山市大山地区の温泉施設「亀谷温泉 白樺の湯」が、10月1日から営業を再開した。燃料価格の高騰という逆風に倒れた閉館からおよそ半年。待ちわびていた常連客はもちろん、再開のニュースを聞いて初めて訪れた人、宮城県や福岡県といった富山県外からの登山客まで、久しぶりの湯を楽しむ人々で賑わいを取り戻している。

「心待ちにしていました」 オープン初日に続々と来客

午前11時のオープンに合わせ、真新しい暖簾が入口に掲げられた。暖簾には男湯・女湯ともに亀のマークが描かれている。金山勝之支配人は「ここは亀谷。亀がついているから亀のキャラクターを用いた」と笑顔で語る。



営業開始とともに、利用客が次々と訪れた。「心待ちにしていました」と話す常連客の姿も見られ、「再開したことを知ったから是非行ってみたいなと。いいお湯だった。また来たい。ツルツルになるし」という声が聞かれた。再開のニュースを見て初めて訪れた利用客は「新しくサウナもできたので、そこを楽しみに」と話し、館内の変わりように「何だこりゃ!ホテルみたい。すごい」と驚く場面もあった。
先週末には県外からの登山客も含め約200人が利用したといい、幸先の良いスタートを切っている。
2度の閉館を経て、地元企業が運営を引き継ぐ
白樺の湯の歩みは、決して平坦ではなかった。前身となる「白樺ハイツ」は富山市の指定管理施設として運営されていたが、宿泊者数の減少を理由に2021年3月に閉館。その後、地域住民の有志が市から建物と設備を無償で借り受け、「白樺の湯」として再出発した。
しかし、燃料価格の高騰という外部要因が施設を直撃し、今年3月末に再び閉館を余儀なくされた。地域に根付いた温泉を守ろうと立ち上がったのが、地元企業の泉建設だ。運営を引き継ぎ、館内のリニューアルも施したうえで、今月1日からの復活に漕ぎつけた。
囲碁・将棋・卓球、送迎サービスまで くつろぎの場を拡充


今回のリニューアルでは、以前は使われていなかった座敷を改修し、休憩室と娯楽室に生まれ変わらせた。休憩室にはソファやテーブルを配置し、飲食物の持ち込みを自由にした。娯楽室には囲碁・将棋・健康麻雀・卓球などの設備が無料で用意されており、入浴後もゆっくりと時間を過ごせる空間が整っている。


利用者からは「復活したからびっくり。ありがたい。風呂から上がってゆっくりできるのがいい」という声が聞かれた。

さらに、地元の高齢者を対象に自宅まで送り迎えする無料サービスも新設した。金山支配人は「おひとりさまからでもOK。何でも気兼ねなく電話していただければ。冬場、雪道になると運転が心配な方も多くなる」と話す。山あいの地域に暮らす高齢者が、気軽に通える場所であり続けることを強く意識している。
pH9.95の強アルカリ泉 「美肌の湯」として全国にPRへ

白樺の湯が誇るのは、県内では珍しい強いアルカリ性の源泉かけ流しの温泉だ。お湯のpH値は9.95で、全国的な「美肌の湯」に匹敵するという。今後はこれを前面に打ち出してPRを強化していく方針だ。大人の入浴料金は500円と、気軽に立ち寄れる価格設定も魅力のひとつである。
母校の掲示板に込めた、過疎の地への願い

今回の再開にあたり、金山支配人がこだわったのが施設内に設けた地元・小見小学校の掲示板だ。小見小学校は支配人の母校でもある。「どこの地域もそうだが、少子高齢化。このあたりも過疎化が進んできているので、ここに来ていただいて関係人口を増やしていければ」と語る言葉には、温泉施設の運営にとどまらない、地域への深い思いが込められている。

富山市の山あい、旧大山町の小見地区に湯煙が戻った。白樺の湯の再スタートは、地域の人々が集い、外からも人を呼び込む拠点としての新たな挑戦でもある。
(富山テレビ放送)

