福岡の古書店で古本の大量注文が相次いでいることが判明した。“古本ブーム”ともいえない、そのワケを取材した。
1度に10冊~数百冊の大量注文
2026年9月、取材班が訪ねたのは福岡市博多区にある古書店『クレアブック』。ネット販売を中心に20年以上、営業を続けているが、このところ、ある異変に直面している。

「2カ月くらい前から5冊から10冊のまとめ買いが頻繁に起きましたね。私、この仕事20何年になりますけど初めてです。異常ですよね」と話すのは『クレアブック』代表の塚本徹さんだ。2026年7月から突然、古本が大量に注文されるようになったという。

「2026年7月14日が最初なんですよ。2カ月半前からだと150冊くらいですね。いままでない。嬉しいですね」と大量注文が続く現状に顔を綻ばせる店主だが、では、一体誰が購入しているのか。

塚本さんによると購入者は外国人とみられる2人。送り先は、同じだった。「知的財産権とか経済とか、木村なんとかー、私、聞いたことないような作家ですよね」と塚本さんは話す。

購入された本は法律の専門書や小説をはじめ英語検定の本まで多種多様。取材を進めると日本各地の古書店で同様の事案が相次いでいることが判明した。

「「7月末に、アメリカから数百冊から数万冊規模まで、取引できる古書店を探していると相談があった」(東京都内の古書店)

「7月頃から、毎日多いときは10冊、注文が来る。500冊は超えているのでは」(愛知県内の古書店)

共通点は、注文者が外国人とみられること。そして1度に10冊~数百冊の大量注文があること。

海外で空前の古本ブームが起きているのか?それとも何か別の理由があるのか?
AI企業による古本の買い占めか?
何とも奇妙な事象だが、書籍の著作権などに詳しい福井健策弁護士は“ある可能性”を指摘する。
「こうした古書は、信頼性の高い学習用としては良質なデータを多く含む。それはAIの回答の精度をあげたり、より正確にしたりすることに役立つ可能性は十分あると思います」

AI企業による古本の買い占めなのか?AIに学習させるために大量の古書が買い占められている可能性があるというのだ。
実際に2025年6月、アメリカで行われた裁判ではAI企業王手の『アンソロピック』が、古本を数百万冊規模で購入し、AIの学習に利用していたことが明らかになっている。

読み込まれた書籍はその後、廃棄されたという。
「文化の種を殺していくことに」
「世界で最も偉大な人たちと私が署名した。道徳的に拘束力があると思う」と9月29日、アメリカのトランプ大統領がAI関連企業のトップと会談し、安全確保に向けた合意文書に署名するなど、急速な成長で「人間を超える」可能性も指摘されている生成AI。

福井弁護士は、AI企業による古本の買い占めは文化に悪影響を与えると危惧している。
「(AIによる要約で)元の資料、あるいは既刊本としても今後の新刊本としても売れにくくなる可能性がある。作家が生活出来なくなると新たな本は生まれない。そうすると、この学習はAIの短期的な進化にとっては良いことかもしれないけど、長い目でみると文化の種を殺していくことになるかもしれない」

大量の古本を飲み込んでいるという生成AI。急激な成長を続けるなか、人間側の向き合い方も問われている。
(テレビ西日本)

