客による企業やその従業員への著しい迷惑行為「カスハラ」。
このカスハラが大きな社会問題となる中、1日から企業などの事業主に対し、従業員を守るための対策が義務付けられました。
埼玉県内を走行するタクシー会社の車内で記録された実際のカスハラ映像では、「カス!気持ち悪いんやお前!」「おいミジンコ!お前この辺でタクシーやれると思うなよ?」などの暴言に加え、運転手に向かい足蹴りし、防犯板を破壊する様子が映っていました。
このタクシー会社が受けたカスハラ被害は他にも。
配車アプリを通じ、指定の場所に迎えに来たタクシー。
「位置ちがくね?こっちが指定した位置、こっちだろうが。ずれてるナビ使うんじゃねえよ」と運転手を叱責する客。
その後、怒りが収まったようにも見えましたが、目的地到着後、タクシーの前に立ちふさがり…。
客:
なんじゃコラ!てめえのナンバー控えてるだけなんだけどなんなんだよ!おい。
運転手:
警察呼びますか?
客:
呼べやおら!
運転手:
ちょっとやめてもらっていいですか?
カスハラ被害に遭ったタクシー運転手:
椅子を蹴られたりとか、「殺すぞ」という過激な発言を受けたときは身の危険(を感じた)。
平和自動車・舘澤心則常務:
こんなことされたという報告は週に1~2回ありますね。「SNSにさらすぞ」といいながら動画を撮られたり…。
客が社会通念上許される範囲を超えて、従業員の働く環境を害する行為を行うカスハラ。
具体的な例として、「不当な要求」や「威圧的言動」、他にも「身体的な攻撃」、「土下座の強要」、さらに「SNSでの誹謗中傷」などが挙げられます。
在宅の患者のもとを回る訪問看護の現場においてもカスハラは大きな問題に。
「(室内に)入ったら(患者から)座れと言われて、ヘルパーさんや往診や訪問看護、各所に対するご意見を言われるという形。いち看護師では解決できないことがほとんどなので、なので聞くしかないという…」と話す訪問看護師は、以前勤務していた別の職場で、患者から45分間の正座を強要されたといいます。
カスハラ被害に遭った訪問看護師:
(Q.正座の45分は)しびれますね。でも崩すわけにもいかない雰囲気だったので。
訪問看護ステーションブロッサム・西村直之代表:
(患者の元へ)訪問すると密室なんですね。密室で「これできません」「あれできません」というのはやはり言いにくい。そういうなかで行ったときに、何か暴言吐かれたりするとみんな怖いんですよ。
こうした中、1日に施行された法律では、事業主に対しカスハラに対する方針を明確にし、周知を図ることや相談体制の整備などを義務化。
対応が不十分な場合には行政指導の対象になります。
1日に取材した訪問看護ステーションでは、法律施行にあわせカスハラの定義や対応に関する詳細な規則を作成しました。
例えば、医師の指示以外の買い物や掃除を患者が強く要求した場合は、カスハラに当たるとしています。
訪問看護ステーションブロッサム・西村直之社長:
やはりこれは、職員を守るための規定なので何がカスハラかというのをまずスタッフが理解しないといけない。
カスハラ被害に悩むタクシー会社では、具体的な対処法を学ぶ「カスハラ講習会」を以前から月1回のペースで実施。
平和自動車・舘澤心則常務:
人手不足といわれている業界で、(カスハラは)大事な戦力を失っていくことに直結するので、何とか手を打てないか。
一方、関東の私鉄大手「小田急電鉄」では、カスハラ対策を目的の1つとして、2026年4月から各駅で職員にウェアラブルカメラを導入しました。
実際の映像を見ると、広い範囲を撮影でき、音声の収録も可能であることが分かります。
小田急電鉄広報部・山田萌々子さん:
通常時でいうと、駅構内巡回時に今は運用。異常時については何か犯罪行為とかお客さま同士のトラブル、カスタマーハラスメントみたいなところが起きたときに、事務所でウェアラブルカメラを着用し駅係員が現場に急行する。
このウェアラブルカメラを着用している時は、今のところカスハラは起きていないといいます。
小田急電鉄広報部・山田萌々子さん:
(現場から)安心感向上や心理的負担軽減につながったという声。
