大分県竹田市の久住高原農業高校に、甲子園の常連として知られる人気の部活がある。
生徒たちが目指すのは「野球」ではなく「和牛」の頂点。一人一頭の牛を担当し、日々の世話や飼育技術を学んでいる。
部長の相棒は、体重約450キロに成長した「ミコトちゃん」。二人三脚ならぬ「一人一頭」で挑む、農業高校の青春を追った。
「甲子園出場が常連の強豪部活動」という話を聞き訪れた久住高原農業高校
「甲子園出場が常連の強豪部活動」があるといううわさを聞きつけ取材にやってきたのは、大分県竹田市にある久住高原農業高校。
甲子園の常連…?となれば、やはり野球部か?
さっそく、生徒たちに聞き込みを開始。
グラウンドを目指して歩いていると生徒を発見。学校について聞いて尋ねると「農業機械とかの体験もできるし、野菜とかも育てられる高校」と教えてくれた。自身は草花の研究をしているそうで「何でも育てていいよって言われたら、チューリップを育てたい」と答えてくれた。
さて、部活動について甲子園に出るような部活は?と尋ねると、「ああ、野球部とかですかね」と、やはり王道の答えが返ってきた。

聞き込みを続けると出てきた「和牛甲子園」というワード
続いて帰宅部の生徒に校内にある部活を聞いてみると、「うし部、フェンシング部、野球部…あとボクシングがありますね」と、気になる名前が。
うしぶ…?耳慣れない部活が気になりながらも次に話を聞いたのは野球部員の3年生。
ーー生徒
「うちの高校は軟式。甲子園ではないです。うし部じゃないですか。”和牛甲子園”っていうのがあるらしいです」
和牛甲子園…?

ついに発見 その名も「うし部」
教えてもらった場所へ向かうと、そこにはたくさんの牛が。
そして、かいがいしくお世話をする生徒たちの姿が。ついに「うし部」を発見。
今回、取材するのがこの久住高原農業高校「うし部」である。
部長の平野晴己さんによると、うし部とは「牛の手入れや、餌やり、授業以外の時間でより深く飼育の技術や方法について学ぶことができる部活」とのこと。部員数は19人もいるそうで、人気の部活動のようだ。

ユニークな部活動紹介で校内で人気の部活に
人気のきっかけとなったのが新入生歓迎会でのユニークな部活動紹介。
平野さんと副部長が、馬のかぶり物をして、ブラッシングの様子などを面白おかしく実演したことで、多くの1年生が興味を持ってくれたんだとか。

生徒たちが目指すのは2つの頂点「和牛甲子園」と「和牛のオリンピック」
「和牛甲子園」について、部長の平野さんは「3年間飼育した牛を最終的に東京へ送って、品定めしていただく」と教えてくれた。
大会で競うのは「肉質」だという。生徒は1年生のときに生まれた子牛を1人1頭担当し、3年後の出荷まで二人三脚ならぬ「一人一頭」で歩んでいくのだそう。相方となる牛の名前は、それぞれの担当者が名付ける。
さらに、うし部が目指す大会はこれだけではない。

うし部の2年生清水麗歌さんは「全国和牛能力共進会という5年に1回行われる、人間で言うところの“オリンピック”があり、その候補牛を今育てています」と教えてくれた。
この大会は和牛甲子園とは違い、繁殖メス牛の「姿形の美しさ」などを競うんだとか。肉質ではなく、スタイルの良さが評価される、いうなれば『美牛コンテスト』。
久住高原農業高校は、この和牛のオリンピックで2大会連続県予選を突破している、正真正銘の強豪校なのだ。
清水さんは、自身の担当牛について「お腹の張りは結構あって。このお尻付近のお肉がまだちょっと付いていない」と冷静に分析。課題を克服するため、散歩などの運動内容を調整していくと語る姿は、まるでアスリートを支えるトレーナーのようだ。

450キロの相棒「ミコトちゃん」と共に目指す最高の栄誉
最後に、平野部長の相方「ミコトちゃん」に会わせてもらった。生まれたときは40キロほどだった体重は、今や450キロ。その大きさに圧倒される。
平野部長の目標は、ミコトちゃんを出荷した際に、脂肪のサシの入り具合を示す「BMS」という値で、最高ランクの「12」を獲得すること。
「A5の12のランクを取るのを目標にして頑張っていきます」
その力強い言葉に、ミコトちゃんへの深い愛情と情熱を感じる。
牛と共に夢を追いかける久住高原農業高校の「うし部」。
「和牛甲子園」と「和牛のオリンピック」の大舞台での活躍に向けて。頼りがいのある相棒と共に、青春の1ページを一歩一歩進めていく。


