普段安心して飲んでいる水が突然汚染されていると言われたら、皆さんはどうしますか?
24日の広島市議会常任委員会。
広島市安佐南区で暮らす住民の代表が訴えかけました。
【上安産廃から安全安心を守る市民の会・今中康昭 共同代表】
「住民は強い不安を感じている。これは一体誰の責任ですか。どこにお願いしたらいいのですか」
市議会へ請願を行った住民が悲痛な現状を訴えました。
今、この地域で何が起こっているのか。
広島市安佐南区上安町の産業廃棄物処分場。
その近くを流れる荒谷川とその支流では今年3月以降、広島市の調査で高濃度の有機フッ素化合物PFASの検出が相次いでいます。
PFASは、発がん性など人体への悪影響が指摘され世界で規制が進んでいます。
日本の水道水の水質基準では1リットルあたり50ナノグラムが指針値ですが、この地域では、それを上回るPFASが検出され、最大で50倍の2400ナノグラムでした。
住民グループの事務局長 坂本さん。
【上安産廃から住民の安心安全を守る市民の会・坂本 裕 事務局長】
「産廃からの排水が合流する地点よりも上流は魚もいる。合流したとたんに何もいなくなる。ホタルだけじゃなくて他の生き物ももう姿を見なくなりました」
井戸水を飲用水として使用している住民を訪れると。
【上安で井戸水を使う住民・村上安秀さん】
Q:今何に水を使っている?
「全部です。台所から風呂から全部洗濯もね」
ここに住んで43年、使い続けてきた井戸水。
今年、広島市が調査に訪れた結果は。
基準値の50ナノグラムを超えていました。
【妻・村上恵子さん】
「夏には冷たくて冬にはあたたかいから、これほどいいお水はない思いよりました」
井戸水しかないため、簡易的な浄水器を取り付け、水を使い続けています。
【妻・村上恵子さん】
「薬を飲むときにはここの水を使います。野菜を洗ったりお米を研いだりするときにはみなこのお水です」
急な話に戸惑う中、独自に水道水を引くには、多額の費用が必要になります。
【妻・村上恵子さん】
「PFASが出たためでしょ。その責任はどこがとってくれてんですか」
飲用水以外にも心配なことがありました。
【村上恵子さん】
Q:この水は?
「(このみっずは)田んぼに行くんです。野菜も稲もやっぱり心配。それだけ水というのは大切なものだと思います」
この地域では、農作物に川からの水を使っている人は少なくありません。
住民は、水の汚染と近くにある産業廃棄物処理場の因果関係を調べてほしいと訴えてきました。
しかし、そこには「法律の壁」があります。
現在、PFASに関する排出基準などの法的な整備はなく、自治体は汚染源特定を目的とした強制的な立ち入り調査をすることはできません。
広島市は、今年7月、住民の不安解消に向け市独自で国に対し、明確な方針の提示や制度と財政両面での支援を要望しました。
9月議会では、住民が浄水器を設置するために一部費用を補助する予算も計上しています。
24日の常任委員会では。
【広島市議会議員】
「法律を待たずして動く。何かできることをするのが行政、市民の命と安全のためにご尽力いただきたい」
市として独自に動くべきだと意見が相次ぎました。
【広島市環境保全課長】
「市民の皆さまの不安解消につなげるため継続的な(荒谷川と支流の)監視調査を実施していく」
毎日の生活に欠かせない水。
一方で蓄積が怖いとされるPFAS。
国の方針が示されない中、住民は安心な生活が早く送れることを願っています。
