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12月19日、これから迎える超高齢社会に向けた「全世代型社会保障改革」の中間報告が発表された。その中で今回注目するのは、改革の目玉ともいえる70歳までの就業機会の確保の問題。

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これから年齢を重ねても、元気に働き続けることはできるのか?

働く70代が活躍する現場を実際に取材した。

スタバでは76歳の最高齢スタッフが活躍

東京・町田市にある「スターバックスコーヒー 南町田グランベリーパーク店」。

20代の若いスタッフが中心のこのカフェで、11月から働き始めたのがスターバックスの国内最高齢スタッフ、山田勝子さん(76)だ。

山田勝子さん:
(スタッフは)みんな私の孫(みたいなもの)です(笑)

山田勝子さん:
失敗したら困るなと尻込むところもありますね、正直

スターバックスは業務を限定した短時間雇用「カフェアテンダント制度」をシニア雇用に活用。勝子さんはその第1号として採用され、時給1020円で1日4時間、週に2~3日働いている。

勝子さんは20代で結婚して以来ずっと専業主婦だったため、今回が初のアルバイト。50歳以上も年下にあたる20代の先輩スタッフに仕事を教わっている。

山田勝子さん:
とってもよく指導してくださるから、毎日楽しいですよ

戦中生まれの勝子さん。その働きぶりは明るく前向きで、とにかくパワフルだ。

お客さんには、「昨日暑かったのに今日は寒いですね」と声をかけたり、「暖房調整しますけど、どうそご利用くださいませ」などと防寒具のサービスを手渡したりもする。

山田勝子さん:
テニスをやったりゴルフをやったり。体力を鍛えたんですよ。それが今役に立ってる

こうした“働く70代”を部下に持つことについて街で聞いてみると...

男性(30):
人生の大先輩じゃないですか。なんか恐縮しちゃいますよね

女性(25):
大先輩として聞けることもあったりするのかなという気はしますけど

勝子さんの働く姿は周囲の刺激に

実際の店舗では、バリバリ働く勝子さんの姿に若いスタッフも強い刺激を受けていた。

先輩スタッフ(28):
かっちゃん(勝子さん)見てると(70歳でも)働いた方が楽しいのかなと思うようになりました

先輩スタッフ(22):
かっちゃんの姿は私にとって憧れですね

スターバックスコーヒージャパン広報部・山田朱香さん:
従業員がより活性化していくことが実現できていくのならば、他の店舗でも実用していきたいと考えています

勝子さんにいつまで働きたいかを聞いてみると...

山田勝子さん:
スターバックスさんが「もう結構です」って言うまで働きます(笑)

年金の受給開始年齢を引き上げようとする動きも

より長く働いてもらうとともに、年金の受給開始年齢を引き上げようする流れもある。

年金の受給額は現在、現役世代の手取り収入の約6割程度だが、約30年後には約5割程度になると予想されている。

これが受給開始年齢を遅らせることで毎月の受給額は増えるのだ。

例えば、65歳で年金を月額22万円受給する世帯だと、受給開始年齢を70歳にすれば、もらえる年金が42%増えて31万2400円となる。

今回の中間報告は受給開始年齢をさらに75歳まで遅らせられるようにしようというもので、70歳までと同じ増え方だとすると、その増額率は84%。なんと40万4800円になるという。

Live News it!のスタジオではジャーナリストの柳澤秀夫さんに話を聞いた。

加藤綾子キャスター:
ただ、年金には働くと受取額が減らされる仕組みがありますのでそこには注意が必要です。さらに健康面、体力面。そういったこともありますから…みんながみんな受給を遅らせることができるというわけではないですよね?柳澤さん

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
なんか、目の前にニンジンをぶら下げられているみたいに感じて。僕は即もらいます。すでにもらっていますから。だって、先行き分からないじゃないですか。この時代。人それぞれの判断だと思いますが、僕はニンジンは目の前で食べます

加藤綾子キャスター:
風間さんは?

フジテレビ 風間晋解説委員:
僕はまだ決断をしてないんですけど、老後の支えとして、3つの要素(現役時代の蓄え、年金、働いて得るキャッシュ)があると思っていて。現役時代の蓄えはない人もいっぱいいますよ。年金は将来どうなるのか分からない。そうすると働くしかないじゃないですか。だからこそ、政府は楽しく、よりよい働き場を提供する努力をやっていかなきゃいけないと思います

(「Live News it!」12月19日放送分より)

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