なぜ?医師数は過去最多32万人でも“医師不足” 「地域医療が成り立たぬ」現場の声

カテゴリ:国内

  • 医師の数は過去最多の32万人 
  • 医師不足の理由は“数”より“格差”
  • 解決の糸口は最新技術

常勤医師不在の間に11人死亡 施設側は「地域医療成り立たない」

全国各地で医師不足が深刻化している。

今月、熊本県八代市にある介護老人保健施設「アメニティゆうりん」で、条例で義務付けられている常勤の医師が不在だった2018年2月から5月までの間に、入所者11人が亡くなっていたことが判明した。

カルテに不審な点はなく、県は施設に対して速やかに医師を配置するよう勧告した。
しかし、施設の理事長は「一生懸命、いろいろな方のツテを頼って医者を探したが見つからなかった。非難されるのであれば地域医療は成り立っていかない」と話した。

医師数は過去最多 なのになぜ医師不足?

厚生労働省のデータによると、全国で医師の数は過去最多となる約32万人。その一方で、専門家は問題を指摘する。

医療ジャーナリスト油井香代子氏:
医師の数は地域によって違いがあり、医師が集中するのは大都市です。
最先端の医療技術があり、情報が多くあるので都会に集中する傾向があります。
その影響で人口の少ない過疎地には、どうしても医師が不足するということになります。

医師不足 の背景に“県内格差”

人口10万人に対する医師の増減データをみると、「大都市医療圏」にくらべると、「過疎地域医療圏」では医師の数が減少している地域が多いことがわかる。
そして意外にも、全国で最も少ないのが埼玉県である。

医療ジャーナリスト油井香代子氏:
東京に近くて県庁所在地のある、比較的人口密集した都会は医師が足りているが、郊外に行って都心からどんどん離れるに従い医師の数は減ってきています。

埼玉の北部に位置する熊谷市の「熊谷生協病院」に内情を聞いた。

「熊谷生協病院」小堀勝充院長:
3月まで整形外科の外来をやっていましたが、医師不足の影響で派遣をしてもらえないことがあり、4月から整形外科の外来を閉じている状態です。
入院患者や救急患者の対応が十分にできないことと、休日夜間の緊急患者の対応が十分にできない現状。
常勤の医師はあと4人くらい欲しい。

医師不足解消も視野に、熊谷生協病院では研修制度を導入しているという。

「外来が患者であふれかえっている」

医師不足が更に深刻な地域では、自治体が主体となって非常勤の医師を雇っているという。

ある女性医師は、住居のある埼玉県や東京都内の医療機関に勤務しながら、定期的に北海道などで非常勤で勤務しているという。

消化器内科医・産業医 渡辺由紀子医師:
ピンチヒッター的に数日間、呼ばれたので行ってみると診療体制がとても大変なことになっていた。
外来が患者で溢れかえっていてそのときはかなりショックを受けました。
“ありがとうございます”という手書きの手紙をもらうこともあり、感謝していただける事が一番やりがいにつながります。

常勤医師不在の3年を経て診療再開

そんな中、秋田県湯沢市唯一となる市立の診療所・皆瀬診療所で、3年以上にわたる常勤医師不在が解消され、ついに常勤の医師による診療が始まった。

岩手から赴任した55歳の男性医師は内科と外科が専門で、傷の縫合手術や胃の内視鏡検査も可能に。
今後、湯沢市は必要な設備を充実させていくという。

湯沢市福祉保健部の佐藤恒雄部長は「お医者さんがいなくなってからの3年間で6割程度患者さんが減少し、少ない時で10人というような状態になっていた。人口も減っていて、これから医療は少しずつ変わっていくと考えているが、地域の住民が安心して生活できるような医療を目指し、医師と一緒に市全体の医療を作っていきたい。」と話す。

総務省と厚労省は今後、医師の確保が困難な地域の公立病院に対して、財政措置を拡充していくということだ。

遠隔診断やAIが医師不足解消の糸口に

地域の医師不足の対策として専門家は、最新技術の活用を提案する。

医療ジャーナリストの油井香代子氏:
オンラインによる遠隔診断やAIを使った検査や診断も医師不足解消の糸口になる。

(「めざましテレビ」6月5日放送分より)

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