ゴミ袋が置かれたままの室内。さらにハンディ掃除機のような物も床に放置されている。もぬけの殻と化した愛知県大府市の建物。室内の壁には、大きくビッグモーターの文字があった。

かつての様子から一転、問題発覚を受け、遂に店舗の閉鎖が始まったビッグモーター。この大府店を含む4つの店舗が8月末に閉鎖され、近隣の店舗に統廃合されたのだ。

売上を伸ばすため?車購入を“強制”か

ビッグモーター側はこの事態について、「経営合理化」を閉鎖の理由に挙げている。

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現役社員のAさんは、会社の現状について「全店舗赤字ですね。8月の実績で言いますと、全店舗マイナスは、ビッグモーターの創業以来初めての経験」と話す。

一方でAさんは、会社再建の名のもとに、再び不正が横行するのではないかと危機感を示した。

「パワハラであったりとか、また不正関係が起きてしまうのではないかな」
「パワハラであったりとか、また不正関係が起きてしまうのではないかな」

ビッグモーター現役社員のAさん:
新しく月が変わってから、また数字を追い求めますよっていう通達が入ってきた。パワハラであったりとか、また不正関係が起きてしまうのではないかな。

和泉社長は先週、社員に対して各店舗の売上目標をメールで設定。

今年、ビッグモーターを辞めた元社員のBさんは、ノルマ達成をめぐり自らが受けた経験を「自社所有の車を買うか、(会社を)辞めるか。当たり前な感じに言われた」と振り返る。この時、Bさんは身内から譲り受けた車を所有していたが、上司がビッグモーターで車を買うか、会社を辞めるか迫ったという。

上司から「当たり前な感じに言われた」という
上司から「当たり前な感じに言われた」という

ビッグモーター元社員のBさん:
僕も家庭があるので、ちょっと待ってくれないかって話はしたんです。上司は「その日に契約してください」っていう感じで…。

家庭もあり、当時会社を辞める選択はできなかったBさん。結局、約30分で購入する車を決めたという。こうした半ば強制的な車の購入は、売上を伸ばすため全社的に行われていたのではと推測する。

「ここまでするのかなっていうのが、その時の気持ちです」
「ここまでするのかなっていうのが、その時の気持ちです」

ビッグモーター元社員のBさん:
その時に(社内全体で)200人近く買わされてるっていう話は聞きました。ここまでするのかなっていうのが、その時の気持ちですよね。

ビッグモーター側は、FNNの取材に「弊社としてそのような事実は確認できておりません」と回答している。

従業員が客の名前使い、虚偽の書類を作成

こうした中、ビッグモーターにまた一つ新たな不正が浮上。山口県内の店舗で、嘘の保険申込書が作られていたという。

損害保険ジャパンによると、ビッグモーター岩国店で、客に覚えのない保険申込書が契約されていたことが判明。その後調べたところ、ビッグモーターの従業員が客の名前を使い、虚偽の申込書を作成したことが分かったため、損保ジャパンが関東財務局に報告した。

ビッグモーターの別の店舗で事務を担当していたCさんは、「上司の指示で似たようなことをさせられていた」と証言する。

事務担当していた元社員のCさん:
お客さまが書かなくちゃいけないものとか、本人の自署、サインをしなくちゃいけないところも私たちが書いたり。そういうのをずっとさせられていて、これやダメなんじゃないんですかって言っていたんですけど、全部未記入の書類を渡されて、(購入した)この人の名前・住所・連絡先を全部記入してねと。

こうした中、金融庁がビッグモーターと損保ジャパンに対し、9月中旬を目途に立ち入り検査することが新たに分かった。
(「イット!」9月4日放送より)

※FNNでは「ビッグモーター不正問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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