ビッグモーター兼重宏行前社長の辞任会見から、25日でちょうど1カ月。長男の宏一前副社長も辞任し、「環境整備」もなくなったとされる現場の店舗を取材すると、以前と様子が一変していた。
社長辞任会見から1カ月...現在の店舗は
少し前まで厳しすぎるほどの手入れが行われていた、さいたま市にあるビッグモーター浦和美園店。
この記事の画像(13枚)25日に取材に行くと、店舗前の植え込みは雑草がかなり伸びていて、取材スタッフの腰くらいまでの高さになっていた。さらに、植え込みの中をよく見ると、たばこの吸い殻や、すぐ近くには袋も落ちていた。店前の様子は荒れているようにも見えた。
一方、敷地内に展示してある車の台数自体は大きな変化がないようにも見える。
店の中の様子はどうなっているのか?
「イット!」ディレクター:
ガランとしています。隣の整備工場も1人整備員がいますが、忙しくしているというような様子ではないかもしれないですね。
取材班が店の前で取材していた2時間ほどの間で目にした、客らしき人の出入りは1組だけだった。
毎日付近をランニングするという住民は、最近の店の様子を「草をとるのやめましたね。あれ以来、全然もうボーボー、こんな感じで。そこの商談しているところも、テーブルもスカスカ」と話す。
取材中に偶然遭遇したのは、凶悪事件なども担当する埼玉県警の捜査1課だった。道路を一部規制する大がかりな実況見分が行われたのだった。
元社員が社内の研修や“イベント”を明かす
この1カ月で取り巻く環境が激変したビッグモーター。
FNNは、元社員に社内で行われていたという「研修」について話を聞くことができた。
営業成績が悪い社員らを対象に行われていたという研修では、上司が「なんで売れてないんだ! どうやったら売れると思ってるんだ!」などと、どう喝していたという。
ビッグモーター元社員:
とても何かを学ぶというような研修ではないんですね。ただのどう喝とつるし上げだけの何も学ぶことのない研修だった。
答えのないことをひたすら詰められて、ただただ1日が終わる。見せしめのための研修っていう感じですね。どうしても研修に行きたくないから、なんとか台数を稼ごうっていう雰囲気がありました。
パワハラ的な研修の存在が、不正などの問題の温床になっていたのか?
元社員は、全社的に行われる“あるイベント”にも疑問を感じていたと話す。
それは、半ば強制的に参加させられる3泊5日の社員旅行。
ビッグモーター元社員:
行き先は(毎回)ハワイなんですけど、社員として入ったら、もう強制的に毎月8,000円引かれるんですよ。旅行積立金として。毎月です。これを2年間ためて社員旅行に行くんですよ。
毎月8,000円を2年間払い続けると、積立額は19万2,000円になる。
団体のパッケージ旅行であればもっと安く行けたはずだと元社員は話す。
さらに、この自腹の社員旅行に参加しないと人事評価が下がるとも…。
ビッグモーター元社員:
要は自腹で“強制参加の社員旅行”をしているだけなんですよ。
経営計画書に「会社行事に参加しない者は人事評価を下げる」という(記述がある)。その会社行事というのが、この社員旅行。だから自腹で行くだけの社員旅行に行かなかったら人事評価下げるというデタラメなことを言っているんですよ。
損保ジャパンめぐる新たな動きも
一方、ビッグモーターによる自動車保険の不正請求を受けた側の損害保険ジャパンをめぐっても新たな動きが明らかになった。
金融庁が損保ジャパンに対し、9月にも立ち入り検査を検討していることが明らかになった。
鈴木俊一金融相:
金融庁としては、まずは報告の内容を受けて、その内容を精査してうえで、適切な手段というものを検討していきたいと思っています。
ビッグモーターをめぐる問題は、新たな段階に入るのか注目されている。
(「イット!」8月25日放送より)