3日午前6時39分、肺炎のため、89歳で東京都内の病院で亡くなったプロ野球、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督。
午後、ご遺体を納めたとみられる棺が東京都内の自宅へ。
ダイナミックで華のあるプレーで絶大な人気を誇った長嶋さん。
打撃では、ヘルメットを飛ばす豪快なスイング。
3塁の守備では、華麗なランニングスローで魅了した大スターでした。
昭和34年、昭和天皇が初めてプロ野球を観戦した天覧試合の巨人・阪神戦。
フェアかファウルか。
際どいポール際に放った劇的なサヨナラホームラン。
背番号3を着けた長嶋さんが、昭和の国民的ヒーローになった瞬間でした。
ホームランの世界記録を打ち立てた王貞治さんとともに、日本シリーズ9連覇を達成した巨人の黄金時代を築き上げた長嶋さん。
そして、昭和49年…。
訪れた、現役引退の時。
セレモニーでの「私はきょう引退してしまいますが、わが巨人軍は永久に不滅です！」という言葉は伝説となりました。
活躍がそのまま、プロ野球を一気に国民的な人気スポーツに押し上げたヒーローが旅立ちました。
訃報を受け、各地で号外が配られ列島に衝撃と悲しみが駆け巡りました。
追悼の声はさまざまなところから。
過去に、父・小泉元首相とキャッチボールをする様子を披露するなど、野球少年だったという小泉農水相は「全く知らなかったので言葉がありません。誰もが憧れ、日本のプロ野球界のシンボルだった長嶋さんですから、いち野球人としてはこれだけ日本の野球の発展のために、生涯現役と言ってもいい。そういったご活躍をされたことに対して心から感謝の気持ちでいっぱいです」と述べました。
“ミスタータイガース”掛布雅之さんも長嶋さんをしのびました。
元阪神タイガース・掛布雅之さん：
僕にとって野球をやるきっかけを作ってくれたのが長嶋さん。その憧れの方がこういう形で亡くなったとニュースで聞いたとき、大きな太陽が沈んでしまったのかな、何とも言えない脱力感。
大阪遠征の際の定宿だったホテルからは…。
ホテル竹園芦屋・福本吉宗社長：
本当にテレビで見たままの長嶋さん。エネルギーの塊みたいな方がやって来られたイメージ。発する言葉一つ一つがエネルギーをいただくくらいの方。
長嶋さんの現役時代に名勝負を繰り広げた、元中日ドラゴンズの投手・権藤博さんは初対戦の思い出を語ってくれました。
元中日ドラゴンズの投手・権藤博さん：
私がプロに入って初めて投げたのが巨人戦で先発。「三番サード長嶋」とアナウンスされた時、九州の田舎者（の自分）が「わぁ、これが天下の長嶋か。俺はこんなところに立ってるんだ」と思いながら投げたら、ガーンと打たれたのはレフトフェンス上段直撃で、もう何を投げても打たれる、恐ろしい。
芸能界からも長嶋さんをしのぶ多くの声が。
親交のあったビートたけしさんは、公式ホームページに「いずれこの日が来るとは覚悟していたが、実際になってみると気が抜けた感じがしてしょうがない。長嶋さんは、同じ時代を生きた神のような存在だった。物心ついて野球に目覚めてから数十年、ファンという感情以上のあこがれを持っていたし、その存在をずっと意識し、活躍にいつも励まされる思いだった。本当にショックだ」とコメントを寄せ長嶋さんをしのびました。
歌舞伎俳優の片岡愛之助さんはSNSに、長嶋さんとのツーショット写真とともに「いつもすてきな笑顔と優しい口調でお話されていた事を思い出します。お疲れさまでございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます」とメッセージを投稿。
長嶋さんと同じ千葉県出身の歌手の荻野目洋子さんは公式Xに、長嶋さんと並んで笑顔でサインボールを手にした写真とともに思い出を投稿。
歌手・荻野目洋子さん：
長嶋さんにお会いできた時の笑顔を昨日の事のように思い出しながら、心よりお悔やみを申し上げたいと思います…。
長嶋さんのものまねで知られる関根勤さん。
自身のXで感謝の思いを投稿しました。
関根勤さん：
突然の訃報に驚いています。戦後の日本を素晴らしいパフォーマンスで盛り上げてくださいました。憧れて長嶋さんのモノマネをさせていただきました。お会いした際は温かくモノマネを認めていただきありがとうございました。
ものまねタレントで千葉県議会議員のプリティ長嶋さん。
議会の合間、「イット！」のカメラに思いを語りました。
千葉県議会議員・プリティ長嶋さん：
知人から第一報を受けて、頭が真っ白になった。どうしたらいいんだろうと。（以前）「私はここで議員やっているんですよ」って言ったら「何言ってんだプリティ。そんなこと俺が知らないと思っているのかよ」って言われた時はびっくりしました。
弔問に訪れた、ともに巨人の黄金時代を築いた王貞治さん。
自宅をあとにする際には、王さんにあいさつをする長男の一茂さんと次女の三奈さんの姿がありました。
午後4時過ぎ、取材に応じた王さんは「今朝連絡をいただきまして『えっ！』っていうのが最初の思いでした。長嶋さんの家に行く時からとにかく暗い気持ちでしかなかったんで。でも長嶋さんの顔を見てほっとしましたよ、
やっぱり。長嶋茂雄っていう人がそこにいた。昔と変わらずそこにいるっていう。やっぱり顔を見られて亡くなられたっていう、残念なことはあるんですけど。そこに長嶋さんがいたっていうことが僕はすごくほっとしましたね。一番来てほしくない人に来ちゃったんですもんね」と哀悼の意を表しました。
また、先ほど巨人の阿部慎之助監督が取材に応じました。
巨人・阿部慎之助監督：
僕をここまで育てていただいた方なので。もちろん長嶋さんはジャイアンツは永久に不滅だといってましたけど、そうなれるように僕らがしっかりと素晴らしいものを継承してやっていきたい。
長嶋さんは、2004年アテネオリンピックで金メダルに挑む日本代表の監督に就任。
その直前、脳梗塞で倒れ緊急入院。
その後、懸命のリハビリを続けてきました。
2013年に国民栄誉賞を受賞した際のセレモニーでは、左手1本での力強いスイングを披露。
その陰での努力について長嶋さんのトレーニングを担当した、久世さんは…。
長嶋さんのトレーニングを担当・久世泰雄氏：
トレーニング用にお持ちして、これを振っていただきました。1カ月ほど前に監督にお会いしました。なんとか頑張ってまたドームにいきましょうと言ったときは「いくぞ。いく」とお話されてました。
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は今日の試合前にインスタグラムを更新し、長嶋さんと撮影したツーショットを公開。
そしてニューヨーク・メッツとの一戦に臨みました。
2点リードされて迎えた7回裏の第4打席。
初球のカーブをフルスイングすると、ライトスタンドに一直線に飛び込む追悼の23号ホームラン。
長嶋さんに捧げる豪快な一発を放った大谷選手は、2塁ベースの手前で天を指すようなしぐさを見せました。
華麗なプレースタイルと抜群の勝負強さで日本人のヒーローになった現役時代。
指導者としても実績を残し“ミスタープロ野球”として最後まで輝き続けました。
長嶋さんの葬儀は近親者のみで執り行われ後日、お別れの会が開かれる予定です。
