14日に啓発週間が始まったギャンブル依存症の問題です。

特に「一度手を出すと抜け出せない」とされるオンラインカジノ、その恐ろしい実態を取材しました。

JR博多駅で14日午前に行われた啓発キャンペーン。

ギャンブル依存症患者の家族たちが特に深刻だと訴えたのが…。

◆全国ギャンブル依存症家族の会 村田麿美 理事
「私たちが問題視しているのはやはりオンラインカジノ。オンラインカジノはやはり違法です。だけどその違法ということを知らずに、ハードルが低いことによってどんどんはまっていく」

オンラインカジノをめぐっては警視庁がプロ野球・巨人の選手2人を書類送検していて、球団は2人が「オンラインカジノの違法性を認識しないまま、興味本位で利用していた」と発表しました。

こうした中、政府内でも動きが…。

自民党や立憲民主党など各党派の実務者が今国会での法改正を目指し9日、協議を実施しました。

与党と立憲がまとめた案ではオンラインカジノが違法であることの周知徹底を図ることや、カジノサイトの開設を禁止することに加え、サイトに誘導する広告掲載やSNS投稿などを禁止することが盛り込まれています。

◆自民・佐藤啓議員(9日)
「今国会で、成立させたい」

最新の調査では1年以内にオンラインカジノを利用したことがある人は340万人以上。

TNCはオンラインカジノを利用したことがあるという30代の男性に話を聞きました。

◆利用したことがある男性
「それ以前にパチンコスロットと競艇、競輪もやっていて。どうしても寝る時間がギャンブルできない時間。その時間もやはりギャンブルやりたい時間。お金がほしい。私の最初の第一歩だった」

7年前に広告を見て軽い気持ちで利用を始めた男性。

100万円の「勝ち」を得た経験から、さらにのめり込んだといいます。

◆利用したことがある男性
「仕事しながらもやってたし、寝る時間を惜しんでもやってたし。ずっとここに賭けろってのがあって、それをしながらお風呂に入ったりとか。だから本当に何時間やってたか分からないです」

こうしてほぼ毎日賭け続け、男性はまさに「オンラインカジノ依存症」に…。

気づいた時には600万円の借金を抱えていました。

◆利用したことがある男性
「危機感を感じたのは自分がどん底に立ってからなのかな。お金の面でどうしようもなくなった時にやっと『やばい』と思ったのかなという感じ」

日本では違法のオンラインカジノになぜ人々は取り込まれていくのでしょうか。

海外のオンラインカジノ運営会社で、去年まで働いていたという日本人男性は…

◆海外のオンラインカジノ会社元従業員
「規制がない日本だと、オンラインカジノはまあやりたい放題できるんで。ちょっと“卑怯な手法”があって」

日本人をカモにするその「卑怯な手法」とは。

◆海外のオンラインカジノ会社元従業員
「例えば(利用者が)10万円勝ちました。出金を要請します。カジノにその出金をわざと遅らせるんですよ。『システム上のトラブルがあって』とか言って。3~4日経って、全然(お金が)出てこないからもうちょっと遊ぼうとなって、プレイヤーがまたその(勝った)10万円分で遊んで、どこかで(勝ったお金以上に)負けるまで、カジノは待って」

利用者の勝ち分の支払いを遅らせた上で、その間にさらに賭けた利用者が「負けるまで待つ」。

つまり「利用者の『勝ち逃げ』を許さない」恐るべき仕組みだったのです。

その手軽さと巧妙な罠で、日本人が次々とハマっていくオンラインカジノ。

少しだけ…という軽い気持ちが人生を狂わせるかもしれません。

国内での賭け額は年間1.2兆円

オンラインカジノをめぐっては国内で賭けられた総額が年間で1兆2000億円に上ることが分かっています。

また支援団体の調査によりますと、オンラインカジノを利用したことがある人の3割が「1週間以内」に借金をしていたことが明らかになりました。

つまりそもそもが違法な上に、いったん始めてしまうと生活が破綻するおそれがとても高いというわけです。

ただ一方で同じ調査では半数以上が「違法だと知らなかった」と答えていて、そのリスクがまだまだ知られていないのが現状です。

テレビ西日本
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