世界中から人々が集まる華やかなイベントの裏側には、見えない努力と緊張が存在する。
大阪・関西万博の治安を守るために設置された特別な警察署の現場を追った。
■万博会場の治安守る「会場警察隊」
大阪・関西万博が開幕してから2週間が経過した。華やかな会場の裏には、会場内の治安を守り、事件を捜査する専門の「警察署」が存在する。
ここで働く警察官たちは、日々多様な課題に直面しながらも安全を確保するために尽力している。
「会場警察隊」の中で2番目に若い、22歳の高山(こうやま)洋平巡査は、突然の異動でこの任務に就くことになった。
【高山洋平巡査】「思っていなかった、思っていなかったです。不安もあるんですけど、誰も経験していないことを最初にやらせていただけるので楽しみ」
■言葉の壁は「スマホの翻訳アプリがあれば大丈夫」
万博会場では、世界中から訪れる観光客たちと接触する機会が多い。
高山巡査もまた、英語が得意ではないものの、翻訳アプリを駆使して、ハワイからの来場者に道案内をする場面があった。
【高山洋平巡査】「スマホの翻訳アプリがあれば大丈夫」
■現場まで徒歩20分 広大な会場での迅速な対応はどうする?課題を痛感
広大な万博会場内での巡回は、容易なことではない。
ある日、心肺停止の緊急通報が入り、高山巡査たちは現場へ急行した。
しかし、会場が広いため到着には20分を要し、別の警察官がすでに対応済みだったこともあった。
【高山洋平巡査】「距離遠いなとは思った。自転車乗れたらと思いましたけど、徒歩だったので」
広大な敷地での機動力の課題を感じていた。
■事件は万博だけではない 会場外のSNSのトラブルの通報も
万博のような大規模イベントでは、思いもよらぬ事件が発生することもある。
ある日寄せられたのは、マレーシアパビリオンで詐欺が起きていると報告され、駆け付けた。
万博とは関係なく、SNSでだまされて60万円を振り込んでしまったというものだった。
【高山洋平巡査】「万博で?と思いました。会場内であれば、会場警察隊で(やる)」
■迷子の子どもの安全も守る
万博会場では、迷子の子どもを見かけることもある。
高山巡査は泣き叫ぶ子どもに声をかけ、親と再会するまで見守り続けた。
【高山洋平巡査】「安心安全で楽しく、もう1回来たいなと思ってほしいので、何か事件があれば早期に対応し検挙につなげたい」
この特別な警察署は、万博開催中の半年間限りの運営だが、その責任は大きい。日々多くの訪問者が訪れる中、警察官たちは一瞬の油断も許されず、使命感を持って任務を遂行している。
大阪・関西万博での警察活動は、表舞台には出ないが非常に重要な役割を果たしている。訪れる人々が安心して楽しめる環境を提供するために、警察官たちは一丸となって取り組んでいる。
(関西テレビ「newsランナー」2025年4月30日放送)