元被告の男 控訴せず有罪判決が確定

今年1月、竹原市の大久野島で、ウサギ7匹の腹部を蹴ったり、口の中にハサミを入れたりするなどの暴行を加え、うち1匹を死なせた罪に問われた男の裁判。

今月14日、広島地裁呉支部は「一方的に暴力を受けるウサギらの姿は痛ましいというほかなく、動物愛護の精神に反する」などとして、男に懲役1年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

広島地裁呉支部によりますと、弁護側は今月28日の期限までに控訴しなかったため、
男の判決が確定しました。

ウサギを虐待するという痛ましい事件はなぜ起きたのか、その行動について専門家と考えます。


「”虐待してみたい”という感情が出てしまった。自分は”異常だ”と思った」

【元被告 ※被告人質問で】
「犯行当時、躊躇の感情はあったと思います。でも誰にも相談できませんでした」

先月末の初公判のなかで、犯行当時の心境を明らかにした元被告。
一連の裁判で元被告は、勤務していた会社で上司による、厳しい指導を受けた影響により休職した際に、偶然、ウサギの動画を見たことで、興味を抱いたと説明。

初めは純粋に楽しむだけだったといいますが、被告人質問では”耳を疑うような”言葉を繰り返しました。

【元被告 ※被告人質問】
「SNSで虐待の動画を見てしまった。かわいそうと思う反面、”虐待してみたい”という感情が出てしまった。自分は”異常だ”と思った」

あまりに身勝手すぎる動機に加え、虐待の様子を撮影していた元被告。
なぜ、このような卑劣な行為に及んだのでしょうか。

ウサギが苦しんでいるのが心地よかったのでは?

【広島大学総合科学部 杉浦義典准教授】
「今回の場合だと、ウサギは生態系の中で力が弱いところに特に着目している」

こう主張するのは、広島大学で異常心理学を研究する杉浦義典准教授です。

【広島大学総合科学部 杉浦義典准教授】
「怒りやネガティブな感情をためている時に、動物虐待にはしる典型的な傾向がみられる。(ウサギが)苦しんでいるのが心地よい、そこに快感を感じている部分があると思う」

元被告は、自分が受けた仕打ちを立場の弱い生き物に行うことで、ストレスの発散や快感を感じていた可能性が高いと指摘します。

裁判の中で、元被告は今回の事件を「よくなかった」と振り返り、ウサギの世話をする人に謝罪の意を示す場面もありました。

今後、社会の中での更生が課題となる元被告。

【山北陸斗記者】
Q同じような犯行や過激な犯行に手を染めてしまう可能性は(今後)ゼロではない?

【広島大学総合科学部 杉浦義典准教授】
「一旦(犯罪の)経歴がついてしまうと、それが色々な形で自分に社会から跳ね返ってきて、もう一回追いつめられてという可能性はある。家庭が安心できるのか、安心できる・頼れるところがなければ、他にどういったケアが必要か、考える必要がある」

何の罪もない動物たちが被害を受けた今回の事件、罪と向き合う覚悟を胸に更生の道を歩むことを願うばかりです。

テレビ新広島
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