札幌市を拠点に猫の保護活動を展開するNPO法人「猫と人を繋ぐ ツキネコ北海道」。シェルターの運営や譲渡に加え、注力しているのが「永年預かり制度」だ。高齢の飼い主が亡くなったり、病気になったりした猫が行き場をなくすケースが増えている。“飼う”のではなく“預かる”という新しい選択肢を提供し、2024年には117匹がこの制度でマッチングされた。代表の吉井美穂子さんに制度の展望や保護活動の現状を聞いた。(聞き手・板橋未悠)

 ――どんな活動をしている団体ですか?
 「不幸な猫を1匹でも減らしたい、増やさないというコンセプトで活動しています。保護猫シェルターである『ツキネコカフェ』や終生飼養の『月虹山荘』も運営しています。譲渡会の実施や飼い主のいない猫の去勢・避妊手術を施す『TNR活動』にも取り組んでいます」

 ――現在は札幌市内だけでなく、道内外から保護依頼が寄せられているとうかがいました。
 「道内各地はもちろん、全国から保護の依頼をいただいています。最近は沖縄県から来ました」


 ――最近の活動で特に印象的だったことは。
 「実は、1年4か月かけて捕獲しようとしていた1匹を今朝、やっと保護できました。高齢の飼い主が亡くなってしまった猫で、周囲の方も高齢だったため引き取り手が見つからず、近所の人たちにエサをもらいながら路上で暮らしていました。朝5時に保護されたので『そうちょー(早朝)くん』という名前です(笑)」


 ――保護された猫はどうなるのでしょうか?
 「猫に合った『家族』を探すのはもちろんですが、最近は『永年預かり制度』も利用しています」

 ――『永年預かり制度』とはどのような制度ですか。
 「様々な理由で猫との暮らしをあきらめていた人に、“飼う”のではなく“預かる”ことで暮らしていただくものです。将来、お世話が難しくなった場合には、私たちが引き取る仕組み。安心して預かっていただけます。今後は、この制度を通して、もっと多くの猫と人とを繋げたいです」

 ――どのような春にしていきたいですか。  
「毎年、北海道中を専用バスでめぐり、野良猫の去勢・避妊手術を行う『北海道内TNR手術ツアー』が、新しいスタッフにしっかり引き継がれ、続いていくことを願っています」


 ツキネコ北海道の春は、今日も猫と人とのあたたかな縁を結んでいる。

北海道文化放送
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