今、若い世代で「編み物」がブームとなっています。長野市の手芸専門店では毛糸の売り上げが例年の1.7倍に伸びているそうです。その理由や魅力を取材しました。
■小6男児も参加!編み物教室
長野市の手芸専門店で月に2回ほど開催している編み物教室。
この日は5人が参加しました。
参加者(60代):
「話しながら一緒に編めるので楽しいです」
参加者(40代):
「形になるっていうのと、普段使いしているものがすべて作って使えることが魅力」
参加者の中には小学6年生の男の子の姿も。長野市の木村斗真さんです。
10年ほど前に始まった教室で、小学生の男の子が参加するのは初めてだということです。
小学6年生・木村斗真さん:
「編んでいるところが楽しい」
斗真さんは2年生の時、学校の先生の影響で「編み物」を始め、すぐに夢中に。
祖母から教わったり、本や動画を見たりして編み方を覚えてきました。
制作中の「毛糸で作った花」は、小学校の卒業記念にお世話になった先生に贈るということです。
この日は立体感のある「ひまわり」を作ろうと初めて教室に参加しました。
小学6年生・木村斗真さん:
「(作品ができたとき、どんな気持ち?)うれしい気持ち。(これからも)いろいろな花束を作ってみたい」
後日、完成した「ひまわり」の写真を送ってもらいました。
■若い世代でブーム
小学生も夢中になる「編み物」。実は今、若い世代でブームとなっています。
手芸専門店の売り場を取材すると、若い世代が次々と訪れていました。
客(20代):
「おいっ子がいて、何か編もうかなと思って。すぐ始められる、職場に持っていって休憩中にやったりとか、どこでも始められるのがいい。友達にやりたい、教えてという人もいて、編み物会として友達の家でやったりする」
■売り上げ1.7倍!なぜブームに?
なぜ若者の間で人気となっているのでしょうか?
クラフトハートトーカイ川中島店・小山裕美さん:
「韓国の人気グループの日本人の方が、SNSを上げてからすごく人気になったようです」
韓国の人気アイドルグループの日本人メンバー「SAKURA」さんが自作の編み物をSNSに数多く投稿。話題となったのです。
2025年1月ごろから徐々に若者が増え始めたそうです。
クラフトハートトーカイ川中島店・小山裕美店長:
「(編み物商品の)売り上げは(例年の)1.7倍くらい上がっています」
■「かぎ針編み」が人気
気軽に始められるのも理由の1つと考えられます。
さまざまな編み方がある「編み物」。セーターやマフラーなどを作る時によく使われる2本の棒を使いながら編み込んでいく「棒針編み」という技法もありますが、ブームとなっているのは針1本で編んでいく「かぎ針編み」です。片手で比較的簡単に帽子などの小物などを作ることができます。
SNSで「かぎ針編み」と検索すると、180万件以上の投稿が。
もともと長野は「編み物熱」が高い地域。2024年、全国の主要都市で長野市は手芸・工芸材料の年間購入額が1位でした。
さらに若者にも広まり、こちらの店では編み物コーナーの売り場を拡大して対応しています。
■編み物に挑戦する親子も
真剣に毛糸を選ぶ親子。長野市の松沢桃菜さん(21)と母・葉子さん(52)です。
桃菜さんもSNSがきっかけで編み物に挑戦しようと訪れました。
松沢桃菜さん:
「枯れない花束、こういうのがはやっていて、これを友達の誕生日プレゼントに編んだらかわいいかなって。楽しみです。細かいの苦手だから、ちょっと(母親に)任せてしまうかも」
自宅で編む様子を取材させてもらいました。
動画を見ながら親子で挑戦!
毛糸でチューリップを作ります。
松沢桃菜さん:
「全然だめだ、無理だよ。今、せっかくよかったのに」
最初は苦戦していましたが、わずか15分ほどで。
母親:
「(1段目完成しましたか?)花の底だね」
チューリップの“底”が完成。
■コツをつかんで1日で完成!
開始から20分後にはコツもつかんできました。
松沢桃菜さん:
「覚えたら意外に簡単かも。これできるよ」
母親:
「早くなった、早くなった」
チューリップは1日で完成しました。
松沢桃菜さん:
「最初はちょっと難しいけど、慣れたらすぐできる感じで楽しいなと思う。丸くなってきたら、ちょっと(完成が)見えてくるので、それが大きくなったらうれしいなって思う」
母親の葉子さんは経験者ですが、20年ほど前に一度離れました。今回、桃菜さんに教えてほしいと言われ、一緒に挑戦しました。
母・松沢葉子さん:
「楽しいですよね。いろいろとコミュニケーションにもなると思うし、自分で興味を持ってくれないと、編み物やってみたらと言っても興味なかったらやってくれないので、SNSで見てやり始めたので楽しいかな」
どの世代でも、友人や家族と一緒でも。
改めて人気となっている「編み物」。今の時代だからこそ「手作りの温もり」が多くの人の心を捉えているのかもしれません。