家宅捜索から4日のスピード逮捕。
「つばさの党」の代表者3人が、ほかの候補の選挙活動を妨害した疑いで逮捕された。

カメラに向かって両手で手を振り、満面の笑みを浮かべて“ダブルピース”をしているのは、17日、警視庁に逮捕された「つばさの党」の代表・黒川敦彦容疑者(45歳)。

同じく、カメラに向かいダブルピースを見せた、運動員の杉田勇人容疑者(39)。

さらに、笑みを浮かべ手を振るのは、「つばさの党」の幹事長・根本良輔容疑者(29)。

4月に行われた衆議院東京15区の補欠選挙で、ほかの候補者の選挙活動を妨害した疑いで、警視庁は17日、3人を公職選挙法違反の疑いで逮捕した。

黒川容疑者らは選挙中の4月16日、東京・江東区のJR亀戸駅前で、補選に出馬していた乙武洋匡氏の街頭演説に乱入。

黒川敦彦容疑者「権利侵害をやめてくれますか乙武さん! 小池知事!」

黒川容疑者だけでなく、自身も補選に出馬していた根本容疑者も電話ボックスの上にのぼり、乙武氏を支援する小池都知事などの演説にかぶせる形で、「国民にちゃんと説明しろ! どの面下げて東京都知事になってんだコラ!」と大音量で演説。

日本維新の会の応援に駆けつけた吉村共同代表にも、怒号を上げて挑発。

この様子を見た学生服を着た男の子は、「正直うるさいです! 大人として恥ずかしくないのかよ!」と声を上げた。

聴衆から「聞こえない」などの証言があったことから、警視庁は「選挙の自由妨害」にあたると判断した。

さらに、妨害行為はほかにも...。

根本良輔容疑者「蓮舫! 蓮舫! 蓮舫! 酒井菜摘さーん、質問がありまーす!」

ほかの候補者の選挙カーを見つけると、“カーチェイス”と称し、10分以上追跡。

警視庁は特別捜査本部を設置し、3人が他陣営の通行を妨害した疑いでも立件を検討している。

選挙中、根本容疑者は、警察署の前でほかの候補者を挑発。

根本良輔容疑者「警察に助けを求めることしかできない。お前らそんな覚悟で政治やってんじゃねーぞ。警察、何も動いてくれないよ。『事故にならないように気をつけてね』っていうことを電話でもらっているんで」

「警察は何も動いてくれない」と主張し、執拗(しつよう)に挑発を続けた。

こうした行為に対し、警視庁から警告。

警察署に足を運んだ3人は、その様子をライブ配信した。

黒川敦彦容疑者「俺らは表現の自由でやってんの。その表現の自由に対して警告を出す。次は逮捕か? ふざけんな!」

警察署の中で、大暴れしていた。

しかし13日、事態は急展開。
「つばさの党」に捜査のメスが入る。

警視庁が、「つばさの党」の本部や黒川容疑者の自宅など、3カ所を家宅捜索。

一方、この直後、3人が向かったのは...。

根本良輔容疑者「また来ちゃいました。小池百合子自宅前でございます」

支援者を引き連れて、東京都の小池知事の自宅の前で、大音量で街頭演説を行った。

黒川敦彦容疑者「俺らが言っていることが悪ですか!」

この日、黒川容疑者は、自身が逮捕される可能性について、「それは法的に戦います。表現の自由を守る行為ってそういうことだと思う。特定の陣営の都合が悪いことによって、選挙に出ているほかの陣営の行動を制限することは、絶対にやらない方がいい」と語った。

17日、警視庁に逮捕された「つばさの党」の黒川代表ら3人。

4月の補欠選挙の期間中、他陣営の演説を妨害した疑いが持たれていて、警視庁は“民主主義の根幹を揺るがす行為”として、ついに逮捕に踏み切った。

公職選挙法を所管する総務省の松本剛明大臣は、3人の行為を「捜査中の案件についてコメントは差し控えたい」としたうえで、「大変深刻な状況であると感じざるを得ない」と述べた。

衆議院東京15区の補欠選挙をめぐる公職選挙法の疑いで、17日に逮捕された「つばさの党」の代表・黒川敦彦容疑者は、午後3時前、城東警察署に移送された。

同じく逮捕された幹事長の根本良輔容疑者は、移送先の深川警察署で笑みを浮かべながら報道陣に手を振った。

運動員の杉田勇人容疑者を含め、警視庁に逮捕された「つばさの党」の3人。

13日の家宅捜索から、わずか4日後の逮捕というスピード捜査の背景にあるのは、6月に本格化する東京都知事選。

6月20日に告示される東京都知事選挙に出馬し、同じような行為を続けると宣言していた黒川容疑者。

他陣営の演説中に自らの主張を大音量で繰り返す行為について、“表現の自由だ”と主張していた。

今回のスピード捜査による3人の逮捕は、“都知事選挙で同じような妨害行為を許さない”という警視庁の意思があるといえる。

小池都知事は、午後2時ごろの会見で、「候補者自身も身の危険を感じながらやる選挙って、ほかの国では聞きますけど、日本でそうなのかい! と。ありえない事態だと思います。問題は、これを模倣していくような人たちが出てくる懸念も残る」と述べた。

警視庁は、特別捜査本部を設置し、事件の全容解明を進めている。

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