自民党の下村元文科相は15日、東京都内で講演し、自身も党から党員資格停止処分を受けた安倍派の政治資金事件に関して、岸田首相が森喜朗元首相から、さらに詳しい聴取を行うべきだとの考えを示した。
下村氏は講演の中で「これだけの処分を受けたわけだから、党を挙げてしっかりと真相を究明をして、事実関係を明確にしてもらわないといけない。スケープゴートになったということで終わりということでは絶対に本質的な解決にならないし、納得できない」と述べた。
その上で岸田首相が自身の処分を見送ったことに関し「岸田総理の責任というのは私はあると思う」と語り、組織のトップが責任をとるべきだと明言した。
さらに、清和政策研究会(安倍派)について、森元首相が会長を務めていた2005年に既に派閥パーティー収入の議員への還付が行われていたことは「明らかだ」と語った上で、「これについてはやはり岸田総理が森元総理に対してきちっとその時の経緯について詳しく聴取をする必要がある。森さんに、特に政治資金の問題についてはきちっと自民党の総裁として対処してもらいたい」と述べた。
安倍派の政治資金問題が発覚した際に、派内での真相究明が不十分だったことについては、「安倍派のその時の体質的な問題がマイナスなってしまった。15人の常任幹事体制というのは誰が責任を持ってどうするかということがない、ある意味で烏合の衆の集まりの象徴みたいなものだ。構造的な問題があった」と指摘した。その上で「ただ塩谷さんも座長でおられたし、高木さんも事務総長でおられたわけで、強いリーダーシップを持ってやってもらいたかった」と語った。
さらに下村氏は、自民党への不信感が高まっている中での今後の政局について、「そういう状況の中で、とても解散総選挙できる状況じゃないと思う。6月に解散総選挙したとしたら、雪崩現象的に大敗する可能性の方が大きい。今の状況をガラガラポン、清算する、今の状況に対する怒りのようなものがあると思っている。本当の意味での解体的出直しができるかどうかが問われている中で、私は6月の総選挙は自爆選挙になると思っているから、絶対すべきではない」と、岸田首相による解散総選挙をけん制した。
その上で、6月に解散総選挙を行い自民党が敗北しながらも比較第一党を維持した場合について、「他の野党を巻き込んで3党ないし4党の連立政権が可能ではないかと岸田総理が考えるかもと思うが、9月には自民党の総裁選挙がある。仲間が死屍累々の負けたような状況の中で9月の総裁選挙で岸田総理が再選されるということはありえない」と述べた。
また下村氏は「6月に国会が終わった後、内閣改造というのも一つの選択としてある。内閣改造して、同時に自民党は岸田政権のもとで大きく変わったということを自ら示して、総裁選挙に打って出ることも選択肢としてありうる。私はどちらにしてもこの9月の総裁選挙が非常に重要で、本当に自民党が抜本的な改革をどのようにしていくかということが国民目線で見たときにちゃんと納得できるような、そういう総裁選挙ができるかどうかということが問われる」との認識を示した。