東京・日本橋高島屋で先週盗まれ、行方がわからなくなっていた“純金製の茶わん”。
警視庁は15日午後、東京・台東区内の店で発見し、押収した。

“純金の茶わん”は、どのようにして発見されたのか。その経緯が明らかになってきた。

「お茶を飲もうと思ったが換金した方がいいと思った」

事件が起きたのは11日、現場は東京・中央区にある日本橋高島屋で開催中の「大黄金展」。

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1人の男が、プラスチックケースをかぶせた状態で展示されていた、販売価格約1040万円の純金茶わんを持ち去った。

逃げた男の行方を追っていた警視庁は13日、窃盗の疑いで無職の堀江大容疑者(32)を逮捕した。

逮捕された際、盗んだ茶わんを持っていなかった堀江容疑者は、調べに対し、「盗んだ茶わんでお茶を飲もうと思ったが、換金した方がいいと思った」と供述したという。

犯行に及んだその日のうちに、東京・江東区内の買い取り店に、180万円で売却していたという。

安すぎる…180万円の買い取り価格

約1040万円で販売されていた純金の茶わんが、180万円で買い取られたことについて、別の買い取り専門店の買取大吉 渋谷文化村通り店・堤奈津季店長はこう話した。

――24Kの茶わんはいくらで買い取る?

堤奈津季店長:
本日(15日)の相場だと470万円ほどです。

――180万円は相当安い?

堤店長:
(高騰している最近の)相場金額から考えると安い金額になります。

――安い金額で買い取ることはある?

堤店長:
通常だと考えにくい金額です。

また、買い取り後は金のレートが変わらないように、すぐ専門業者に売るため、買った翌日に商品がないことはよくあるという。

“純金の茶わん”どうやって見つかった?

堀江容疑者から茶わんを買い取った店に捜査員が訪れた時には、茶わんはすでに転売されていたという。
そして15日午後、この茶わんが東京・台東区の店で発見された。

盗まれていた純金製の茶わんの裏には、「光一作」との刻印がある。
この刻印と重さが一致したことから、警視庁は盗まれた茶わんだと特定した。

茶わんは、江東区の店が堀江容疑者から買い取ったあと、台東区の店が買い取っていた。

さらにこの話を聞きつけ、店に向かった捜査員が、15日午後、盗まれた茶わんであることを確認し、発見に至った。

犯行に及んだ心理とは…

堀江容疑者は5年ほど前、自身の顔を撮影した映像を自ら「イケメン」と名乗り、YouTubeにアップしていた。

その動画はすべて10秒に満たない短いもので、撮影後、編集などを行わずアップした“お手軽動画”だった。

犯罪心理にくわしい専門家は、この“お手軽動画”と今回の犯行に共通した考え方があると分析する。

明星大学 心理学部・藤井靖教授:
特に深く考えるわけでもなく、すぐに撮れて、すぐにアップできる。茶わんもパッととれて換金できる、とにかくすぐにできるだけ簡単な方法で(目的を果たす)という発想。満たされない現実に対する一発逆転的な発想が、(動画と犯行に)共通している。

盗まれた茶わんの返却については、「大黄金展」の主催者などが協議するものとみられる。

買い取りを拒否されるケースも

東京・日本橋高島屋で盗まれ、15日東京・台東区内の店で発見された純金製の茶わん。
最新情報を高島屋前から、フジテレビ・広瀬修一ディレクターがお伝えする。

今回、特定された茶わん、その決め手となったのが、重量と刻印だという。
見つかった茶わんの裏側には、「光一作」というふうに書かれていた。

また、その重量というのも盗まれたものと同一ということがあって、見つかったものと盗まれたものは同一だと特定につながったという。

最終日の15日も「大黄金展」は開かれ、午後6時閉場した。

この日は、入場者の数がコントロールされていて、表に行列ができていたが、夕方ごろもまだ行列があって、多くの人が足を運んでいる状況になっていた。

――かなり安い値段で買い取られた“純金の茶わん”だが、通常あるのか?

今回の売買の買い取り店とは別の店に聞いたところ、例えば、「きょうのうちに現金が欲しいんです」、「安くてもいいので、どうしても買い取ってください」と言ってくるお客さんが、かつていたというが、そういった場合は買い取りを断ったという。

買い取りをお願いされた商品の購入の履歴などに不審な点があると、一般的には買い取りは拒否されることもあるという。
(「イット!」 4月15日放送より)

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