京都府・京丹後市の「まるなか水産」の役員ら2人が、希少価値の高い「間人(たいざ)ガニ」の認定タグをズワイガニに付けて販売した疑いで逮捕された。作業場からは未使用の認定タグも大量に発見されていて、警察が入手ルートを捜査している。

タグを付け替え…高級ブランドガニを偽装

京丹後市の「まるなか水産」役員の中井満容疑者(42)ら2人は、兵庫県産のズワイガニに、「幻のカニ」と呼ばれる高級ブランド「間人ガニ」を証明するタグをつけて販売した疑いなどが持たれている。

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タグは、京都府の漁協が5隻の漁船にのみ販売している。しかし、FNNが入手した「まるなか水産」の倉庫の映像には、袋の中にタグが大量に入っていて、漁船の関係者から不正に入手していたとみられる。

また関係者は、中井容疑者が「他でもやっていたから産地偽装をした」という趣旨の話をしていたと証言している。

間人ガニは、京丹後市で水揚げされるブランドズワイガニだ。5隻の漁船のみに漁が認められていて、他の漁港で水揚げされるズワイガニと比べて、鮮度が優れている。希少価値が高く、入手困難なため「幻のカニ」と呼ばれ、1杯4万円ほどの値がつくこともある。京都府の漁協が漁船の船長らに販売している緑の認定タグが、間人ガニであることを示す証となっている。

「まるなか水産」役員の中井容疑者ら2人が、漁船の関係者から不正に入手して、水揚げされたズワイガニのタグを中井容疑者がはさみで切り、自身や従業員でタグを付け替えしていたとみられている。

地元住民などによると、作業場の扉は数年前から中が見えない「マジックミラー」になっていて、カニをゆでる作業の際も扉を閉め切っていたという。また、「ゴミ出しをしてバレたらアウトなので、見えないようにガムテープでぐるぐる巻いてやっていた」といった関係者の証言も出てきている。

袋に入った、大量の緑色のタグ
袋に入った、大量の緑色のタグ

FNNが入手した映像を見ると、袋の中に緑のタグが大量に入っていたが、タグは限られた船長しか持つことができず、さらに船の上で取りつけるものなので、卸業者の作業場にあることは通常ではありえないことだ。会社からは未使用とみられるタグも多数見つかっていて、警察が入手ルートを調べている。

認定の漁船1隻が「認定タグ」を“大量仕入れ”

漁業関係者に聞いたところ、普通のズワイガニと間人ガニは一般の人では見分けがつかないという。

また、中井容疑者と取引があった料理店も、「初めて食べる人なら、これがそうなんだ」と思い込んでしまうと話していた。

中井容疑者はなぜ緑のタグをそんなにも持っていたのだろうか。

関係者によると、漁が認められている5隻のうち1隻の漁船が「タグが海に落ちた」と言って、漁連にタグを買いに来ていたという。漁連によると、1シーズン5000個程度使用する認定タグを、倍の1万個ほど仕入れることもあった。タグの管理に関しては、全て船の所有者に任せていたという。
(「イット!」 4月8日放送より)

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