6日午前8時53分、群馬県高崎市の上信電鉄の踏切で、すぐ近くに住む小学生の渋沢姫星愛さん(9)が事故に遭い亡くなりました。

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上信電鉄によると、高崎駅行きの2両編成の列車が、次に停車する西山名駅方面に時速70kmほどの速度で向かっていたところ、犬を散歩していたとみられる姫星愛さんが、犬を追いかけるようにして線路内に入ってきたといいます。

約50m手前で侵入に気がついた運転士が、非常ブレーキをかけ警笛を鳴らしましたが、間に合いませんでした。

地元住民によると、よく犬の散歩をして元気な女の子だったという姫星愛さん、同級生とその家族はショックを隠しきれません。

姫星愛さんと同級生の家族:
(子供が)今までありがとうってノートに書いたよね、4年生になっても一緒に遊びたかったって。明日が始業式だったので。もう少しで会えるってところで…こうなっちゃったので。悔やまれますよね。

危険な「第4種踏切」

現場となった踏切の周りには、田んぼが広がり、見通しは決して悪くありませんが、警報機や遮断機が設置されていない「第4種踏切」でした。

国土交通省によると、上信電鉄には、45カ所もの「第4種踏切」があるといいます。
実際に、今回の事故現場から90mほど離れた場所にも「第4種踏切」がありました。

事故が起きた踏切について、地元住民は「危険」だと感じていたと話します。

地元住民:
散歩の人が通るくらいかな。(地域の)人が渡って、帰ってきたりとか、そういうコースになっているよね。子供が飛び出すんで、怖いですよ。

地元住民:
ああいうところ通さないようにすればね、いいんだけど。危ないよね。

上信電鉄の「第4種踏切」をめぐっては、2021年12月にも線路上にしゃがみこんでいた94歳の男性が列車にひかれ死亡する事故が起きていました。

しかし、現在もその場所には「とまれ」の文字が書かれた標識があるだけで、警報機や遮断機は設置されていません。

警報機や遮断機を設置するのか、それとも踏切そのものを廃止するのか。地元住民の中でも、意見が割れています。

地元住民:
上信電鉄に乗ったりするときには必ずこの道を通りますから、必要なんですよね。

地元住民:
閉鎖するなら閉鎖する。ちゃんと危なくないようにフェンスとか作れれば、ああいうことはないと思うんだけど。

地元住民:
やっぱり夢中になっていれば、子供なんかは、分からなかったりというのがあるので。音だけでもあれば、違ったのかなとは思います。

対策を阻む2つの壁

危険性が指摘されている「第4種踏切」。なぜ、対策は遅々として進まないのか。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏はそこに“2つの壁”があると話します。

1つは、遮断機を設置しようにも、1機あたりの設置費用は1000万円以上かかってしまう、鉄道会社の経済的負担の面。

2つ目は踏切を廃止しようとしても、周辺住民から「不便になる」と存続を求められることが挙げられます。

2021年の事故の際も、上信電鉄と富岡市などが踏切の廃止を検討しましたが、地域住民や周辺の土地所有者から利便性の低下や地価下落の懸念などの理由により反対があり、廃止の方針について合意には至りませんでした。

鉄道ジャーナリスト 梅原淳氏:
踏切の問題は鉄道会社だけではなく、道路の管理者、自治体が多いのですが、その協力で遮断機・警報機を付けるか、あるいは踏切をなくすことができないなら歩道橋をつけるとか。そうしていくしかないのかなと。
いくつかの危険な踏切をまとめて1カ所に、新しい踏切を設置するということが(法的に)できないので。安全な踏切ができるならば、そこにまとめてもいいとか、柔軟に対応していただいてもいいのかなと。
(めざまし8 4月8日放送)