公明党の山口代表は27日、東京都内で講演し、この中で次の衆院選の時期について、「政治への信頼回復のトレンドを確認するまで解散すべきではない」とする一方、来年夏に行われる参院選と東京都議選との同時や接近した日程になることへの強い警戒感を示した。今年秋の解散論への賛意をにじませた形だ。
山口氏は講演の中で、衆院の解散総選挙の時期について問われ、「首相が解散の専権を持っているから普通はコメントしない」とした上で、「しかしこれだけ政治不信が高まる中では、連立政権もろとも影響を受けるので、信頼回復のトレンドを確認できるまでは解散すべきではない」と述べた。
さらに信頼回復のトレンドを確認できるのは、早くて6月かと問われると「それがいつになるか、今のところまだ見通せない」と語った。
その上で、来年夏に参議院選挙と東京都議選がほぼ同じ時期に行われることを指摘し、「衆参ダブル選挙のように大きな選挙が重なると公明党の選挙に注ぐエネルギーが分散され、公明党の候補の当選を最優先してやらざるを得なくなる。だから一緒に戦う自民党としても、あまり大きな選挙を重ねない方が協力がうまくいきますよ、お得ですよと申し上げてきた。そういう意味では来年の参議院選挙と都議選とは、少し離した方がいい」と述べた。
さらに、2009年の麻生政権時を振り返り「任期満了まで追い詰められ政権を失う結果となった。あれを教訓とすべきだ」と語り、参院選後の解散にも否定的な考えを示した。
また、岸田首相が衆院政治倫理審査会に出席したことについて山口氏は、岸田首相がメディアなどに政倫審出席を表明する前に電話で「私が政倫審にでることにします」と打ち明けられ、「岸田さん自身はお呼びでないですよ、求められていませんよ。それでも出るんですか」と確認したという。
これに対し、岸田首相は「説明責任を尽くす努力を率先して示す。これがより(政倫審出席を)期待されている人たちの出席を促すことに繋がるんだ。また岸田派でも会計責任者が問われているわけだから自分から説明をしたい」と説明したという。
また、山口氏は講演の中で、派閥の政治資金問題に関する真相解明について、「安倍派がなぜ収支報告をしないで、いわゆるキックバックをどういう状況で意思決定したのかを(国民は)知りたい。それに最も近いと思われる事務総長経験者や幹部が出てきてそれなりの説明をして質疑の機会もあったにもかかわらず深まっていないという現状だから、その意思決定からより遠い立場にある人を呼んでどれだけの真相解明に繋がるかは定かではない」と述べ、野党側が求めている政倫審で説明する議員数の拡大について疑問を呈した。