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 山川出版社(東京都千代田区、代表取締役:野澤武史)は、昭和26年から70年余りにわたって文部科学省検定教科書の出版に携わり、教科書や学習参考書のほか、歴史学を中心とした書籍を多く刊行しています。

 このストーリーでは、高等学校の日本史教科書としてシェアNo.1である『詳説日本史(日B309)』をもとに英語に翻訳した、『英文詳説日本史』(2024年3月刊行)を紹介します。



【『英文詳説日本史』という新しい挑戦】 


山川出版社 代表取締役社長 野澤 武史


 野澤:プロラグビー選手時代、多国籍な環境下でチームメイトから「日本のことを知りたいので、なにか良い本がないか?」と聞かれて薦められるものが無かった体験が原点にあります。

 当社の『詳説日本史』『詳説世界史』は、客観性に優れ、偏りのない記述で構成されていると定評がある教科書です。この教科書の英語版を刊行することができれば、日本の文化や歴史、魅力を海外に向けて発信できるだろうとずっと考えていました。

 山川出版社の教科書は、創業以来の多くの人の努力や想いを載せ、叡智を集約してきました。そうした“日本の歴史”を英語でも読めるようにすること、この試み自体が一つの挑戦でした。英語で読み直すことで、日本史を新たな視点からみることができ、幾通りもの読み方で楽しむことができる一冊になってます。


【日本の学生やビジネスパーソンに手に取ってほしい】


近藤成一先生


 近藤:さまざまな人に手に取って欲しいですが、特に日本史専攻の学生にはぜひ読んでほしい一冊になっています。

 日本史の研究は海外でも進んでいるので、日本の学生も、英語で書かれた論文や外国での日本史研究がどうなっているのか目を配る必要があります。本書はその基礎力や英語表現を知るためのきっかけになるのではないでしょうか。

 なぜこの英語表現になっているのか、翻訳の意図や検討点を「翻訳注」という形で章末に掲載しています。今回の翻訳の過程をみることができ、とても面白いでしょう。

 また、ビジネスパーソンにとっても、『詳説日本史』という信頼できる教科書記述をもとに翻訳しているからこそ、なにかを確認したい時に標準的に使える翻訳になっていると思います。

 『詳説日本史』という満遍なく書かれた日本通史の教科書があったからこそ、過不足のない英訳ができたと思います。一から英語で書かれた日本史の書物はドラマチックに書かれているので、そちらもぜひ読んでほしいですが、それとは別に本書のように過不足なく体系的に書かれた書物も必要です。本書は外国の日本史研究者にも参考になることは間違いないと思います。


【日本史教科書を翻訳することの難しさ】


亀井ダイチ アンドリュー先生、亀井ダイチ利永子先生


 亀井:ただ英語ができる人が英語にするのではなく、日本史の知識をもって、元の意味がきちんと誤解なく伝わる翻訳にするためには膨大な時間がかかり、1行翻訳するのに、一晩中議論した時もありました。

 元が教科書だからこそ複数の先生が執筆に携わっていて、日本語独特のぼかした表現もあります。そういった文章を英語という言語で表現するためには、著者の意図をはっきりさせていく必要がありますが、そこがとても大変な作業でした。

 また、漢字で書かれていれば、日本人は読み方や意味が分かりますが、英語圏の人は分からないので、英語で適切に説明する必要があります。英語を母国語にする人と、日本語に慣れた人が学びなおしとして読む人、2つの視点を意識しながら翻訳することがとても難しい作業でした。単に英語が合っていればいいということではなく、その英語が何を意味してるのか深く考えて使わないと、こちらが意図していない意味を相手に与えてしまうので、特に歴史を扱ううえで、相手に誤解されない文章になるよう常に意識していました。

 日本語だけで歴史をみていると、日本の考え方でみてしまいがちですが、この本を手にとっていただくことで、新たな視点で日本史にアプローチすることができ、日本の国だけで成り立っているのではないこと、日本の外からの視点に気づくきっかけになってくれれば嬉しいです。


【編集者として、『英文詳説日本史』に込めた読みやすさの工夫】


 編集担当者:『英文詳説世界史』に引き続き、『英文詳説日本史』を担当することになってすぐ、世界史とは違う大変さがあると分かりました。

 日本語で生まれた日本史の歴史用語は様々な訳し方があり、漢字に含まれる様々な意味合いを考慮する必要もあります。また、単にローマ字表記されているだけではどの歴史用語のことなのか分からないため、フォーマットを変更し、本文中に日本語ルビを追加することにしました。

 “編集者”という目線に立つと、読み進めていくなかで表現が不揃いになっていると気になります。例えば、「戦い・合戦」「乱」「事件」「変」「役」「戦争」など、さまざまな歴史用語の表現がありますが、日本語に合わせて統一的に翻訳されているわけではありませんでした。その時代や背景、状況に応じて、適切な英語表現に翻訳されているので、単純に統一することはできないのです。そのため、先生とやり取りを重ね、適切な表現を検討していくという、地道な作業が続きました。

 ようやく無事に刊行をむかえ、担当者としては一安心しているところです。この本を手に取ってくださる読者は、ビジネスパーソンとして教養を身に付けたい方、学生時代の学びなおしをしたい方など、自分自身と近い立場の方が多いように思います。だからこそ、そんな方々の目線に立って、英語話者でなくても読みやすい本になるよう、企画当初から意識をしていました。ぜひ書店で手に取っていただき、懐かしい日本史に新たな視点で触れていただければ嬉しいです。


■翻訳者紹介

近藤成一先生 Kondo Shigekazu

 東京大学名誉教授、放送大学教授。専門は日本中世史。


亀井ダイチ利永子先生 Rieko Kamei-Dyche 

 立正大学データサイエンス学部准教授。専門は日本史、日本文化、英語教育。


亀井ダイチ アンドリュー先生 Andrew T. Kamei-Dyche

 青山学院大学地域社会共生学部准教授。専門は日本出版文化史。


【書籍】

URL: https://www.yamakawa.co.jp/lp/japanese-history-for-highschool/ 


【書誌情報】

書名:英文詳説日本史 JAPANESE HISTORY for High School

編者:佐藤信 五味文彦 高埜利彦

翻訳監修:近藤成一

翻訳:亀井ダイチ利永子 亀井ダイチ アンドリュー

価格:3,300円(税込)

仕様:A5判・512ページ

発行:株式会社山川出版社

URL: https://www.yamakawa.co.jp/ 


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