岸田首相は5日の参院予算委員会で、日英伊3カ国で共同開発する次期戦闘機の輸出について「英伊と同等に貢献しうる立場を確保することが、我が国の国益である」と述べ、輸出を認める方針に理解を求めた。

輸出に慎重姿勢を示している公明党の西田議員の質問に対し岸田首相は「国際共同開発の協議は、各国が置かれている安全保障環境に応じて必要となる性能について議論を重ねつつ、共通の期待を作り上げていくプロセスだ」と指摘した上で、「協議を進める中で英国・イタリアは調達価格の低下等に向けて、完成品の第三国移転を推進することを重要な要素と考え我が国にも同等の同様の対応を求めていることが明らかとなった。こうした中で輸出等による価格低減努力も含めて十分な貢献を行う必要がある」と述べ、輸出に理解を求めた。

また「逆に我が国から第三国への直接移転を行う仕組みが存在しなければ、我が国は価格低減の努力を行わないことになり、我が国は求める戦闘機の実現が困難となる。従って、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現し、我が国の防衛に支障をきたさないようにするため直接移転を行いうる仕組みを持ち英伊と同等に貢献しうる立場を確保することが、我が国の国益であると考えた」と意義を強調した。

また、輸出を認めない場合のリスクとして「我が国は国際共同開発生産のパートナー国としてふさわしくないと国際的に認識をされてしまうことにもなる。今後、同盟国・同士国との国際共同開発生産への参加が困難となれば、我が国が求める性能を有する装備品の取得維持が困難となり我が国の防衛に支障をきたすことになると」指摘した。

これに対し西田氏は「次期戦闘機という最も殺傷能力の高い防衛装備品の第三国輸出ができるようになれば、それが前例となり、いかなる殺傷能力を持った武器も輸出できるようになるのではないか。にわかな政策変更はこれまで、日本が培ってきた平和国家としての信頼を損なうことになるのではないか」と疑問を示した。

さらに「次期戦闘機の輸出先で、仮に隣国同士の紛争に用いられることになれば、紛争を助長するとともに地域の安定を失い日本を取り巻く安全保障の環境はかえって損なわれる恐れがある」と指摘し、「次期戦闘機の第三国輸出はこれまでの方針を大きく変更することであり十分な説明と丁寧な議論による国民の理解が欠かせない。引き続き議論が必要だ」と慎重姿勢を強調した。

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