2018年に「三線」が国の伝統的工芸品に認定されてから、初めて県内4人の三線の作り手が「伝統工芸士」に認定されました。

伝統工芸士とは伝統的工芸品産業振興協会が認定する称号です。

協会によると伝統工芸に従事する職人のうち伝統工芸士は1割ほどだということで、まさに職人の中の職人が伝統工芸士です。

職人たちの三線づくりにかける思いを聞きました。

浦添市伊祖にある仲嶺三線店。三線の伝統工芸士に認定された一人が仲嶺盛文さんです。

三線伝統工芸士・仲嶺盛文さん
「派手な仕事じゃなくて地道な仕事なものですから、感動がありました。」

仲嶺さんは20歳のころに兄がやっていた三線店で働き始め、32歳で独立。78歳になる現在まで三線一筋の人生を歩んできました。

三線伝統工芸士・仲嶺盛文さん
「その人に合った三線を作る。楽しいです。例えば男の声で太い声だったら音を太く、しっかり鳴るような感じで作るし、女性の方でしたらちょっと細めにして、張り方も高めにして、ちょっとキンキン鳴るような音を作るというのを心がけています」

「三線作りは音作り」と話す仲嶺さんは、琉球古典音楽も学び師範の資格までとりました。

三線伝統工芸士・仲嶺盛文さん
「将来この人が独唱をしたらこういう音がいいだろうぐらいのところまで追い求めて、考えて作ります。夢があるでしょう。楽しいですよ」

三線づくりにおいて、仲嶺さんが大切にしている言葉があります。

三線伝統工芸士・仲嶺盛文さん
「三線を作る人を作る三線を作る品格を作る三線を作る自分を作る一つ一つを丁寧に。いっぺん作ったら一生その人が持つ。形になるものですから責任があるわけですよ。だからその覚悟で作ります」

那覇市繁多川の渡慶次三線工房。三線製作事業協同組合の代表理事を務める渡慶次道政さんも伝統工芸士に認定されました。

三線伝統工芸士・渡慶次道政さん
「合格したのは嬉しいけど、2人が相次いで亡くなってさ」

今回、八重瀬町で工房を営む譜久山勝さんと、うるま市に工房を構えていた照屋勝武さんも伝統工芸士に認定されましたが、先月亡くなりました。

三線伝統工芸士・渡慶次道政さん
「残念だけど、その分私どももまだ頑張らないといけない。その遺志を継ぎながら、後輩たちにも指導しながらやっていきたいと思う」

今帰仁村生まれの渡慶次さんは10代のころから歌三線を習い始め、20代なかばで三線づくりの道に足を踏み入れました。

三線伝統工芸士・渡慶次道政さん
「歌の師匠には、歌は下手でもいいから、人間性を大事にしてと言われて。仕事の先生にもやっぱりそういう類のことを言われましたね。技術も磨きながら、人間性も磨きなさいと」

渡慶次さんは三線には欠かせない糸巻き・カラクイや竹でつくる「ウマ」も自身の手で製作している数少ない職人で、”渡慶次型”と呼ばれるまでに至っています。

三線伝統工芸士・渡慶次道政さん
「私の座右の銘にこれがあった。『世間(しきん)やてぃーいー』って沖縄のことわざでね。『世間は、広くて、あんたが思っているより知識、技術、とても広いですよ』と。ヤマトの言葉だと上の上があるから、一生、それを心がけて頑張ってくださいという」

渡慶次さんは先人たちが築き上げた技法を守りながら今の時代に合った新しい型にも挑戦したいと意気込んでいます。

三線伝統工芸士・渡慶次道政さん
「思いを込めて気張らず、威張らず、精魂込めて作ってあげるのが私の使命だと思って。100歳まで頑張ります」

沖縄が誇る伝統工芸・三線。職人としての矜持を胸にこれからもひとつひとつの三線に向き合っていきます。

沖縄テレビ
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