米・サンフランシスコで、2023年8月からスタートした「完全自動運転タクシー」の24時間運行。しかし今回、路上に群衆に取り囲まれ、ついには炎上する事態となった。一体、何が起こっていたのか。

なぜ…春節で賑わう中華街で「自動運転タクシー」襲撃

群衆に取り囲まれた1台の車。

スケートボードで窓を叩き割ろうとする人も
スケートボードで窓を叩き割ろうとする人も
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スケートボードで窓を叩き割ろうとする男の姿もある。やがて白い車体には無数の落書きが…。

車体には無数の落書きが
車体には無数の落書きが

2月10日に投稿されたこの映像。春節で賑わうアメリカ・サンフランシスコの中華街で襲撃されていたのは、完全自動運転のタクシーだ。

「車に火をつけろ!」という声も上がり、破壊された窓から車内に爆竹のようなものが投げ込まれると…。

やがて車は炎上し、大きな炎に包まれた。なぜこのタクシーが襲われたのだろうか。

FNNは2023年10月、同じ車種の自動運転タクシーを取材していた。
今回襲撃されたのは、IT大手・Google系列の「Waymo(ウェイモ)」が運行する自動運転タクシー。

記者リポート:
停止してからゆっくり前に出て、車が通り過ぎるのを待ってから曲がりました。すごいですね。

サンフランシスコでは、2023年8月から完全自動運転タクシーの24時間運行がスタートした。

「自動運転ラボ」を運営する下山哲平さん:
(自動運転車の実用化は)この5年くらいで急速に進み始めた状況ですね。(技術が)半分くらい完成したら、まずはサービスとして提供し始めようという、柔軟なアプローチをしているというのがアメリカ。自動運転なんかはまさにそう。

ところが、別の事業者の自動運転タクシーが救急車の進路を塞ぎ、救護を求めていた人が亡くなる事故が発生。さらに人身事故も起きるなど、自動運転をめぐるトラブルが相次いだため、自動運転タクシーの導入への反対運動も起きる事態となっていた。

自動運転タクシーへの反発も強まっている中、治安が悪化しているサンフランシスコで起きた今回の襲撃事件。現場の状況を見ると、自動運転タクシーの課題も見えてきた。

タクシーが襲撃される直前とみられる現場付近の映像では、交差点の真ん中で旧正月を祝う花火が打ち上げられ、人々が路上にあふれ渋滞。その背後に近づいてきたのが、襲撃された自動運転タクシーとみられる。

「自動運転ラボ」を運営する下山哲平さん:
今回で言うと、その治安の悪いところに(自ら)入ってしまって、ターゲットになってしまった。

運転しているのが人間であれば、「今日はあの場所を通ったら危ない」と感じ、通行するのを避けるという選択肢が、自動運転車にはなかったとの指摘だ。

「自動運転ラボ」を運営する下山哲平さん:
やはり人間的な感覚や経験・知識というところをより機械側、自動運転側にもインプットしていくことによって防げたかなと思う。“人間的な脳の部分との融合”というところが、今後非常に重要性が上がってきたのではないかと思います。
(「イット!」 2月13日放送より)