師走に入り、年末の大掃除を考える時期になった。この機会に不用品を処分し、スッキリしたいと思っている人もいることだろう。

しかし片付けをしていると、「これは捨てるよりもフリマサイトやリサイクルショップで売ったほうがいいのだろうか?」といった疑問を持つこともあるだろう。

では実際はどうなのだろうか? 出張買取を専門とする「買取マクサス」の代表取締役・関憲人さんにどのようなものが売れるのか聞いた。

トレカや昔のブランド品を捨てるのは待った!

――大掃除で出てきた不用品で、高値がつくかもしれないものにはどんなものがある?

今はトレーディングカードが非常に値上がりしています。もしお子さんが出ていったあとの部屋などで『遊☆戯☆王』『ポケモン』などのカードを見つけたら、捨てないでおいたほうがいいと思います。10万、20万くらいの値段が付くものがゴロゴロあったりします。

昔のシャネルやルイ・ヴィトンなど、ヴィンテージのブランド品もここ数年で何倍にもなっています。たとえ塗装が禿げていたり接着部分がベタベタになっていたりしても捨てないほうがいいでしょう。

ウイスキーやブランデーなども買い取り対象(イメージ)
ウイスキーやブランデーなども買い取り対象(イメージ)
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――意外なもので高値が付くものは?

貴金属に価値があるのはみなさんご存じだと思いますが、貴金属が使われている入れ歯や金歯も買い取りできます。

ウイスキーやブランデーなどのお酒も値段が上がっています。中国ではお酒を贈答品とする文化があるので、中国系の人たちが好んで買うためです。

元々箱に入ったものであれば、箱があったほうが高く売れます。(レミーマルタン)ルイ13世はボトルだけでも数万円になるはずです。ちなみに、本当に価値のあるものは付属品だけでも売れます。エルメスのバーキンは、箱だけで1~2万円で取引されていますよ。

日本の民芸品は海外で需要

――「こんなものも売れるんだ!」と思うようなものはある?

5年落ち、10年落ちのパソコンやスマホは数十円から数百円程度、ジャンク品でも値段が付く可能性もあります。東南アジアなどの海外では中古品を直して使うという需要があるためです。ゲーム機や楽器も買い取り対象です。

また、海外で需要があるという点では、こけしや木彫りのクマなどの民芸品も買い取り対象です。海外では日本の民芸品を面白がって買ってくれる人が多く、僕が海外市場調査に行った時、魚をくわえた木彫りのクマが1万円ほどで取引されているのを見かけました。

実家などにあるこけしも海外で人気(イメージ)
実家などにあるこけしも海外で人気(イメージ)

こけしは作家ものであれば単品で2000~5000円くらいになる場合があり、ごく稀に数十万くらいのものもあります。ただしほとんどの場合は何個かまとめて100円からというレベルです。クマは1000円くらいにはなるかもしれません。民芸品は「捨てずに済んでラッキー」くらいに考えていただけるとありがたいですね。

あと、珍しいところでは、全自動麻雀卓や農機具を買い取った実績があります。


――お宝が出てきた例は?

大掃除ではありませんが、ある地方で遺品整理をしていた際、タンスの奥から総額1000万円ほどの記念硬貨が出てきたことがありますね。最近買い取ったものでいえば柿右衛門(編集部注:佐賀・有田町にある17世紀から続く窯元およびその当主)の花瓶がありました。

ノーブランドの家具や服は価値が低い

――買い取りニーズが高いのはどんなもの?

弊社は出張買取専門なので、家具家電など自分で運べない大きいもののニーズが高いです。あとは、楽器、カメラ、オーディオ、ゲーム機、着なくなった洋服などのアパレル関係もあります。

ノーブランドや量販店の家具や洋服などは値段が付かない場合が多いですが、弊社の場合、最初から対象外のもの(いきもの・なまもの)以外、値段が付かないものだけを置いて帰るということはしていません。

オークションサイトに出品すれば売れるかも?(イメージ)
オークションサイトに出品すれば売れるかも?(イメージ)

困っているものと価値のあるものはやはり別物ですが、弊社にご依頼をされる方には、遺品整理や、「何をどういう段取りで片づければいいかわからなくて困っている」という方も多いです。

弊社のサービスは、価値のあるものも含めてまとめて売ってもらうことによって成り立っているので、サービスの一環として値段が付かないものでも引き取らせていただいています。

また、弊社で値が付けられないものでも、オークションサイトに出品すれば多少値が付く場合もあるので、お客様に提案してご判断いただく場合もあります。

大掃除の助けになる業者の選び方

――値段が付かないものも引き取ってもらえたほうが大掃除の観点からは助かる。出張買取を依頼する場合、どういう業者を選べばよい?

まず、大掃除のように何に値段が付くのかわからないものがたくさんある場合は、ブランド・貴金属系の業者ではなく、リサイクルショップ系の業者を選んでください。同じ出張買取でも、ブランド・貴金属系の業者は、ブランド品や貴金属以外は引き取ってくれません。

また、もしブランド品や貴金属だけを売りたいという場合は、出張買取ではなく店頭買取に持っていったほうが高く売ることができますよ。

貴金属やブランド品だけを売りたい場合店頭買取がベター(イメージ)
貴金属やブランド品だけを売りたい場合店頭買取がベター(イメージ)

見分け方としては、ホームページをチェックして、取り扱っている商品のラインナップに家具や家電があるかを目安にしてみるといいと思います。

そのうえで、どこまで不用品の引き取りに対応してくれるかは業者によって異なるので、事前に確認することが重要です。私どもはフランチャイズ展開をしているため、オーナーの裁量で柔軟な判断ができるのが強みですが、業者によってはアルバイトなど裁量権のない人が出張して来くることもあり、取り扱える幅が狭い可能性もあります。

貴金属狙いや不用品回収トラブルに注意

――出張買取でよく起こるトラブルは?

「着物や古銭を買い取ります」とアプローチしてきて、貴金属を出すまで帰らないというあくどい業者がいます。実は着物にはほとんど値段が付かないのですが、そういう業者は着物を着る層が持っている貴金属を狙っているのです。

本当は売りたくないのに売ってしまったというケースも…(イメージ)
本当は売りたくないのに売ってしまったというケースも…(イメージ)

また、不用品回収をうたう業者から、不用品をトラックに載せてから高額請求をされるケースがあります。載せてしまってからでは自分で戻すことができないので支払ってしまうことが多いようです。

トラブルを避けるには、車でアナウンスを流している業者や、頼んでいないのに訪ねてくる業者は避けたほうがいいでしょう。

依頼する際は、事前に問い合わせてみてきちんと対応してくれるかを見るだけでも参考になると思います。そして口コミをチェックすることも重要です。


――大掃除に出張買取を依頼したければ、いつまでに頼んだほうがいい?

クリスマス頃になると駆け込みの依頼が増えてくるので、余裕を見て、12月の2週目くらいまでには依頼したほうがいいでしょう。



グローバルに見ると、日本で取引されるよりも値段が上がるものもあるようなので、大掃除で不用品が出た際の参考になりそうだ。業者に出張買取を依頼する場合は、どの業者に頼むか慎重に検討してほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。