中国では9月以降、マイコプラズマ肺炎などの呼吸器疾患にかかる子どもたちが急増し、小児科病院では混乱が続いている。お隣の韓国でも同様に感染が広がっている。
24日、北京市内の病院を取材すると、混雑する医療現場の実態が見えてきた。

院内は新型コロナ拡大時のような光景

中国国内の病院で撮影された映像には、多くの人が受付に向かって行列を作っている様子が映っていた。

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その行列は画面の奥の方にまで伸び、付近には赤ちゃんの泣き声も響き渡っているのが分かる。

また別の病院では、待合室のベンチをベッド代わりに眠る家族の姿も見られた。

北京市内で小児科の病院を訪れると、目に付くのはマスク姿の子どもたちの姿。

取材先の病院では「感染科」と書かれた場所に人があふれかえっていた
取材先の病院では「感染科」と書かれた場所に人があふれかえっていた

院内の「感染科」と書かれたスペースは、椅子に座ることもできないほどの人であふれかえっていた。

まるでコロナ感染拡大時のような完全防備
まるでコロナ感染拡大時のような完全防備

受付のスタッフはゴム手袋にマスクと帽子をかぶる完全防備体制で、新型コロナ拡大時のような光景だ。
院内にいた、子どもを連れてきていた親に話を聞くと「軽い肺炎です。何日も並びました。心配でないわけがないでしょう。焦ってしょうがない」。
別の親は、「熱と全身の痛みです。肺炎はとても心配です。(症状は)熱と全身の痛みです。肺炎はとても心配です」と話した。

こうした状況を受け、WHO(世界保健機関)は中国に対し、呼吸器疾患の増加や子どものクラスターに関する情報を提供するよう要請した。

中国のSNSにあふれる院内の混乱ぶり

中国のSNSには、各地の病院における様々な混乱ぶりが投稿されている。

21日にSNSに投稿された映像には、点滴を掲げた状態で列を作る大人たちの姿。子どもの診察の順番を待ちながら、点滴を持ってあげているようだ。

さらには25日に投稿されたものを見ると、
「保護者の皆様へ 現在子どもの患者が多く700人以上が並んでいます」
という病院内のものとみられる掲示板もあった。

中には「24時間以上待ち」と、丸一日以上の待ち時間が示された病院もあり、張り紙の後ろの警備員は眠ってしまっている。

「マイコプラズマ肺炎」は強い感染力…日本への影響も

心配されるのは、広がりを見せるこの肺炎の日本への影響だ。
24日の閣議後会見で、武見敬三厚労相は、「中国政府に対して、新たな肺炎の状況について情報をこちらにも伝達して欲しい旨、要望しているところ」と述べた。

肺炎の正体は、発熱や咳の症状が出る「マイコプラズマ肺炎」で、感染力が強い疾患とされている。
実際に日本国内でも広がる可能性はあるのだろうか。

いとう王子神谷・内科外科クリニックの伊藤博道院長:
国と国の行き来が、今 通常通り盛んに行われている現在では、中国から日本にこの感染症が持ち込まれるということはあると思います

既に韓国でも感染が広がっていることから、日本にも影響が及ぶ可能性はあるという。

韓国でのマイコプラズマ感染症による入院患者数は、この1カ月で2倍以上に増加。約8割を12歳以下の子どもが占めているという。

いとう王子神谷・内科外科クリニックの伊藤博道院長:
(今後)1カ月から2カ月、もしくは3カ月くらいの間で、数百万人くらいの感染者数が出てもおかしくないのではないか

大規模感染の恐れもあるこの感染症は、なぜこのタイミングで急増したのだろうか。

いとう王子神谷・内科外科クリニックの伊藤博道院長:
新型コロナが流行ったことによって、免疫力を獲得する機会がなかったりとか、免疫力、抵抗力が弱まっていたことによって、急速に爆発的に感染が広がった

WHOは中国当局から、「新たな病原体は検出されていない」との報告があったと発表。
これまでの情報から、渡航制限などは必要ないとしている。※TOP画像は中国SNSより
(「イット!」 11月24日放送より)