11月4日、東京・小金井市で行われた「武蔵野はらっぱ祭り」で、男性が配っていた“グミ”を食べた5人が病院に搬送された問題。

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捜査関係者によると、男性が配っていたのは、「HHCH」の文字が袋に書かれた、いわゆる“大麻グミ”と呼ばれるものでした。

「HHCH」とは、大麻由来の成分に似せた合成化合物。現在は、法律の“規制対象外”です。

グミを製造していたのは、大阪市に本社を置く会社で、祭りで体調不良者が出たことを受け、10日に大阪市保険局などが立ち入り調査を行っています。

男性はなぜ“大麻グミ”を配っていたのか?目撃者に話を聞きました。

「音楽がよく聞こえる」会場をうろうろ

“大麻グミ”が配られたのは、祭りの会場である「武蔵野公園」。出店が並び、ステージではライブが行われるなど、当時来場者は約2000人にのぼりました。

祭りの出店者は、会場をうろつく“不審な男性”の姿を見たといいます。

祭りの出店者:
(グミを配っていた男性は)会場をうろうろしていて、目立っていました。なんか怪しい感じでした。

別の出店者によると、祭り会場で、パッケージに入っていたグミを1粒ずつ来場者に渡していたという、40代の男性。

祭りの出店者:
「このグミを食べると音楽がよく聞こえるようになるよ」って言いながら、グミを配っていたという話を関係者から聞きました。グミを配った男性は、警察に連れていかれ、警察官に対して、「もうわかった!」と大きな声で怒鳴っていました。

グミを配っていた男性は、警察庁の任意の聴取に対して「自分もよく食べているので、他の人にも食べてほしかった」と話しており、“大麻グミ”という認識はなかったといいます。

“大麻グミ”による搬送相次ぐ

耳慣れない“大麻グミ”による体調不良。実は今、東京都内で搬送される事案が相次いでいます。

11月3日には、東京・墨田区にある押上駅のホームで、男女4人が体調不良で搬送。この4人も祭りで配られたものと同じ、“大麻グミ”を食べたと話しているといいます。

都内を取材すると、“大麻グミ”と呼ばれるものを販売している店舗も…。

“大麻グミ”などを取り扱う販売店:
(危険性もあるため)必ず少量から欲しい人だけが使ってほしいっていうふうには、お客さんには伝えている状態ですね。たばこを吸って、気が休まるとか、そういうレベルのものだと思っていただければいいかなと思います。(今回の)影響はあると思いますし、多分近日中に禁止されるだろうなって思っています。

今後死者が出る可能性も…規制は?

なぜ危険性も指摘される“大麻グミ”が広がっているのか、そこには法の網をかいくぐる実態がありました。

犯罪ジャーナリストの石原行雄氏によると、“大麻グミ”は、1袋に5個程度入っており4000円~8000円で販売されているといいます。

犯罪ジャーナリスト 石原行雄 氏
犯罪ジャーナリスト 石原行雄 氏

犯罪ジャーナリスト 石原行雄 氏:
こういうようなものを販売しているお店、“ヘッドショップ“といって、大麻関連の吸引具などを売っているような店なんです。あるいはネット通販なんですけれど、やはり買う人間、あるいは配る人間っていうのは、”暗黙の了解“で分かってやっている悪質さというのはあると思います。

――ヘッドショップはどのくらい広まっているのでしょうか?
例えば今まで危険ドラッグを売っていたような業者が、法規制によって商売が成り立たなくなったのでヘッドショップに鞍替えしたというケースなんかも非常に多いですね。
東京なんかでも、繁華街に行けばそういう店が簡単に見つかる、あるいは地方であってもネット上であるワードを入れて検索すれば、ずらっとお店出てくるという状態で、基本的には“野放し”といっても過言ではないです。

危険性があるにもかかわらず、法の対象外となっている理由について、取り締まり対象の薬物は、厚労省が人体の影響などを調査・研究することになっていますが、この研究結果が出るまでは“合法状態”になってしまうといいます。

さらに、矢継ぎ早に新しい薬物が登場するため、取り締まりが追いついていないという現実も。

――危険性がある物質に類する薬物に対して、許可制や申請をするなど、緩く網をかけることはできないのでしょうか?
犯罪ジャーナリスト 石原行雄 氏:

やはり“危険ドラッグ”というものがあれだけ死者もでるような大事故がいくつも起きて、ようやく規制されるようになったのは、やはり「包括規制」というものがあります。
少し改造する、例えば水素をくっつけて形だけ変えて販売するというケースもあったわけですけども、大本の部分が同じであれば全て同じですよと法律を改正したわけです。ですから、このHHCHなんかも、「カンナビノイド」という大麻の有効成分に、水素をくっつけた半合成物質なんです。例えばアメリカのコロラド州なんかで、大麻が解禁状態になっていますけれども、そのコロラド州でさえ規制対象の物質なんですね。ですから、日本の法律も、カンナビノイド全体あるいは、有効成分のあるような対象を包括的に規制するような法律に改正することが急務なのではないかと。

犯罪ジャーナリスト 石原行雄 氏:
現状では、(大麻グミを食べても)病院に担ぎ込まれるという段階ですんでいますけども、放置すればより強いものを売ろう、それで人気をとろうみたいなこともあり得る話ですから、死者が出てくる可能性もありますし、やはり「規制」が急がれるものだと私は思います。
(めざまし8 11月16日放送)