4日、東京・小金井市の武蔵野公園で開催された「武蔵野はらっぱ祭り」。そこで、来場者の男性が配っていたグミを食べた10代から50代の6人が次々と体調不良を訴え、うち5人が病院に搬送された。グミを配っていた男性の知人に話を聞くと「40代男性」と話した。

さらに専門家に話を聞くと、「HHCH」という“大麻グミ”に含まれる成分は、現在、規制対象外で急速に広まっていると指摘した。

配られた“大麻グミ”の味はマンゴーとホワイトピーチ

FNNは“グミを配っていた男性と20年来の知り合い”という、祭りの出店者に話を聞くことができた。

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出店者によると、男性は40代で、会場ではパッケージに入っていたグミを1粒ずつ、来場者に手渡していたという。

祭りに参加していた人は「お祭りは普通にやってて、グミを配っている人がいるっていうのをスタッフの方が『もらわないでください!』って言っているのを聞いた」と当時の状況を説明した。

すると、その直後、当時約2000人の人が詰めかけていたという会場に救急車が到着。グミを食べた10代から50代の6人が次々と体調不良を訴え、うち5人が病院に搬送された。

捜査関係者への取材で、男性が配っていたのは大麻由来の成分に似せた合成化合物「HHCH」の文字が袋に書かれた、いわゆる“大麻グミ”などと呼ばれるグミであることが判明。

さらにその味はマンゴー味とホワイトピーチ味だったことがわかった。

規制対象外の成分「HHCH」が急速に広まる

このグミは、大阪府内に本社を置く会社が製造したもの。祭りでの体調不良者が出たことを受け、10日に大阪市健康局などが立ち入り調査を行ったことがわかった。

HHCHとは、いったいどういうものなのか?

元麻薬取締官の高濱良次さんは「大麻取締法に該当しない合成のカンナビノイド。これは最近出てきた。それまではTHCH、これが危険ドラッグとして8月に規制された」と説明する。

大麻に含まれるカンナビノイドという化学物質の1つ「THCH」という成分が含まれた食品が、危険ドラッグとして8月に規制対象になったことを受け、規制対象外の「HHCH」が急速に広まったという。

大阪市の街頭で話を聞いた30代は「ハードルは下がるでしょ、絶対。本物の違法大麻やらなくて、ちょっと雰囲気楽しんでみたいなって」と指摘する。

東京都内では問題のグミを食べた後に、体調不良で搬送される事案が10月以降に相次いでいる。

3日、押上駅のホームで体調不良で搬送された男女4人は「大麻グミを食べた」と訴えていたという。

この4人が食べていたグミも「はらっぱ祭り」で配られたものと同じで、味はコーラ味だったことがわかっている。

販売店は「近日中に禁止されるだろうなって」

そこで、都内を緊急取材すると、驚きの実態が明らかになった。

グミを売る店舗は都内に複数あり、どの店舗も若者に親しみやすいおしゃれな雰囲気となっている。

しゃれたカフェのような雰囲気の店に並ぶ大麻グミ。1日に約80個売れるという店もあったが、体調不良をもたらす“危険性”があり、むやみに他人に渡すことは控える必要がある。

“大麻グミ”などを取り扱う販売店は「そうですね。(他人に配ることでの危険性が)ないとは言わないです。使ったことがない人たちに食べさせたというのは、たぶん(問題)あるとは思います。近日中に禁止されるだろうなって思ってます」と話した。

祭りの会場でグミを配った男性は、警視庁の任意の聴取に対し“大麻グミ”との認識はなく、「自分もよく食べているので、他の人にも食べてほしかった」などと話しているという。
(「イット!」 11月15日放送より)