自民党の党改革実行本部は8日、若者の視点から自民党に政策提言を行うことを目的に、19歳から29歳で構成される計10名の「リバースメンター」から、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)、医療分野などに関する政策提言を受け取った。
本部長を務める茂木幹事長は「一般的にみると(自民党は)安定感はあっても、古くさいとかじじくさい印象が拭えない部分もある」と述べ、若手から意見を取り入れ政策反映する本制度を導入した意義を語った。
“デジタルに強い20代”のリバースメンター
「リバースメンター」とは、先輩と若手がリバース(逆転)し、若手社員がメンター(相談者)となることを指す。党の「リバースメンター」制度は、若者から自民党に政策提言を行うことを目的に2023年5月に結成。面接などを経て選ばれた計10名が活動する。
米国の名門スタンフォード大学でコンピュータサイエンスを専攻する大学1年生(19)や戦略コンサル勤務の女性(27)、国立情報研究所の若手研究員(29)などが集う。主に、自民党のデジタル社会推進本部の会合に出席し、現役の自民党議員との意見交換を通じて、若者の意見を直接ぶつけることができる。
デジタル・グリーン分野で若者ならではの提言
実際に、デジタル政策について提言した株式会社 Next Finance Tech徳力創一朗さん(28)さんは、「国会議員の日常を身近に感じることができた。若者の政治関心が薄いと言われているが、関心が薄いというより関心を持つきっかけがないだけだ。ぜひこの取り組みを続けてほしい」と語った。
また、医療従事者のメンタルヘルス改善の事業を行う「Plusbase」の氏家好野さん(28)は、医療DXの問題点として、「革新的医療(高速通信技術やAI活用)や情報基盤の底上げ(電子カルテの標準化など)などの施策はあるが、業務効率化の施策が不十分だ」と問題点を指摘。医療事務の効率化などについて提言した。
さらに、デジタル技術を活用するベンチャー企業「サグリ株式会社」の坪井俊輔さん(29)は、「世界の農地などのモニタリング機能」を充実化させる施策を提案した。二酸化炭素の排出に関する「カーボンクレジットの信ぴょう性の担保が必要だ」と述べ「その基盤を日本初で」と提案した。
茂木氏「岸田首相に言いたいことを言って」
「リバースメンター」からの提言を受けた茂木氏は「ぜひこの取り組みを続けてほしい。グリーン分野などの提言も、自民党の政策に様々な部分で絡むので、提言を一度、萩生田さん(政調会長)にもっていってもらいたい。また、関連する議員と議論する機会を持てるようにしたい」と述べた。
さらに「トップに聞いてもらわないといけない」として岸田首相に提言を伝える考えを示し、「(岸田首相は)『聞く力』があるので、総理のところにも行ってもらい、言いたいことを言う機会を調整したい」と語った。