「いじめがなかったら、普通に学校に行って、受験もできていたと思います」

2022年12月、千葉・市原市の中学校で発覚したいじめ。市の調査委員会が発表した報告書では、複数の生徒が被害生徒を蹴っていたことなどを「いじめ」と認定した。しかし、暴力が複数回あったことは事実認定された一方で、日常的だったことについては事実として認められていない。なぜなのか――。被害生徒の両親が、初めてカメラの前でその胸中を明かした。

「事実でないことを記者会見で言うんですか?」

「イット!」が入手したのは、市原市で発覚したいじめ重大事態の、被害生徒側と調査委員会のやりとりの音声だ。

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被害生徒・母「事実でないことを、息子を傷つけることを記者会見で言うんですか?」
被害生徒・父「絶対変えられないわけないですよね?」
調査委員会「いや、これが結論です」

2022年12月、市原市の中学校でいじめが発覚。市の調査委員会が発足し、2023年3月、複数の生徒が被害生徒を蹴っていたことなどを「いじめ」と認定し、記者会見で調査結果を公表している。

被害生徒の両親は声を震わせながら、初めてカメラの前でその胸中を明かした。

「いじめがなかったら、普通に学校に行って、受験もできていたと思います」
「いじめがなかったら、普通に学校に行って、受験もできていたと思います」

被害生徒の母親:
いじめがなかったら、普通に学校に行って、受験もできていたと思います。子どもは変わってしまいました。

被害生徒の父親:
(息子は)体調を崩して、現在は不登校という状態が続いております。

“日常的ないじめ”認定せず…報告書の内容に憤り

両親にも心理的な負担が重くのしかかる中、調査委による報告書の内容に憤りの声を上げる。

被害生徒の父親:
日常的ないじめだったってことは、どこにも調査報告書には出てこないですね。息子も、ほぼ毎日、日常的な暴力ですとか、教科書・文房具を奪われたというふうに主張しています。

いじめの発覚後、加害生徒の1人から被害生徒と両親に宛てられた手紙の中には、日常的な暴力への謝罪などが記されていた。しかし報告書では、暴力が複数回あったことは事実認定された一方で、日常的だったことについては事実として認められていない。一体なぜなのか。

被害生徒側と調査委員会のやり取りの音声を聞くと…。

被害生徒・父「(加害者生徒が)日常的に暴行して、日常的に死ねというような暴言吐いているんですけど、それが全く(報告書に)触れられてないんで、それは本人が否定したってことですか?」
調査委員会「そういう結論でいいんじゃないですかね」

調査委は「加害者側が被害者側への説明から一転、調査委に日常的であることを否定したため、事実と認定できない」としている。

一方、市原市のガイドラインでは、いじめの調査結果の公表に際し、被害者側に公表の仕方や内容を確認するとしているが、市の調査委員会は会見での公表を両親が反対する中で実施していた。

「家族みんなで笑える生活に戻りたい」

こうした市による調査の問題点について、いじめ重大事態の調査に詳しいレイ法律事務所の高橋知典弁護士は「調査委員会の人たちが、教育に元々携わっているチームだということになると、(被害者側・加害者側)どちらかに寄ろうという気持ちがなかったとしても、『学校に寄ってしまっている』という状態で始まることがある」と指摘する。

被害者側からの申し立てにより、新たに発足した第三者調査委員会で再調査を行い、20日にも両親に内容の報告が行われる予定だ。

「本人の病状が回復して、家族みんなで笑える生活に戻りたいなというふうに願っています」
「本人の病状が回復して、家族みんなで笑える生活に戻りたいなというふうに願っています」

被害生徒の父親:
このいじめの問題が発覚してから、家族で笑うことがなくなったと思う。今までの生活が一変してしまいましたので、本人の病状が回復して、家族みんなで笑える生活に戻りたいなというふうに願っています。
(「イット!」10月19日放送より)