ビックモーターと損害保険ジャパン、その親密な関係に金融庁のメスが入った。ビッグモーターの保険金不正請求問題で、金融庁は19日朝、両社に立ち入り検査に入った。

不正の実態解明が進むなか、FNNはビッグモーターでの車購入トラブルをめぐる新たな証言を得た。購入した新車に搭載されたカーナビの機種が、注文したものと違うことが判明したが、キャンセルができず、新車を「中古車」として売ることになったという。

両社に金融庁が立ち入り検査

都心の六本木から多摩市に移転したビッグモーターの本店には19日、4人の検査官の姿があった。

ビッグモーター本店に向かう金融庁の検査官ら(9月19日)
ビッグモーター本店に向かう金融庁の検査官ら(9月19日)
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金融庁が立ち入り検査に着手したのは、ビックモーターが抱える様々な不正や疑惑の中で、最初に明るみになった保険金の不正請求問題。保険販売の代理店として、契約者の保護に問題がなかったか調べるとしている。

損保ジャパン本社ビルに入る金融庁の検査官ら(9月19日)
損保ジャパン本社ビルに入る金融庁の検査官ら(9月19日)

一方、新宿にある地上43階建ての損保ジャパンの本社ビルにも午前10時、金融庁が立ち入り検査に入った。損保ジャパンへの検査のポイントは、ビッグモーターとの関係性だ。

9月8日の会見で、損保ジャパンの白川社長は「(損保ジャパンの)出向者に対するヒアリングもしておりましたので、関与はなかった」と述べていた。しかし、金融庁は延べ37人にも及ぶビックモーターへの出向者の役割などを重点的に調べるとしていて、検査には数カ月を要するとの見方もある。

新車買ったのに…マイナス20万円

不正の実態解明が進むなか、FNNはビッグモーターでの車購入トラブルをめぐる新たな証言を得ることができた。

数年前、関東地区の店舗で新車を購入したAさんは、「同じ車種・装備で正規ディーラーよりも安く新車を買える」との説明を営業担当者から受け、購入に踏み切った。ところが……。

Aさん:
カーナビが頼んだものより安い、機能を省いたものだったんです。

カーナビの機種違いに気がついたAさんは、慌てて契約書を見ると、そこには自分が頼んだ商品名や型番などの記載はなく、ただ「カーナビ」とだけ書いてあった。
その後、担当者に聞くと……。

(担当者との実際の音声)
Aさん:
注文したということだから、細部までは調べてないんですよね。
担当者:
細部までは…見てないですね。

営業担当者は非を認め、Aさんに謝罪。ところが、カーナビなどの違いから車をキャンセルできないか店長に聞くと、態度が一変したとAさんは話す。

Aさん:
契約書通りだからって、何も相手にしてもらえなかったんですよ。(店長からの)謝罪とか、そんなことは、とんでもない話で。言われたい放題言われただけです。クレーマーのように。何言ってるんですか?みたいな。

結局、キャンセルには応じず、買ったばかりの新車を泣く泣く中古車として売る形になり、Aさんにとっては20万円近いマイナスとなってしまった。

当時を振り返りAさんは、最初の担当者と店長のあまりの態度の違いに違和感を覚えたと話す。

Aさん:
ずいぶん態度が変わって「おかしいな」っていうことを思ったんだけれど、結果的に今思えば、(担当者と店長)2人で相談しながら、うまく導いていったのかなって。

ビッグモーター側は、この件についてFNNの取材に、「店舗に対して確認を取りましたが、事案の特定ができておりません」とコメントしている。
(「イット!」9月19日放送より)

※FNNでは「ビッグモーター不正問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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