中古車販売大手ビッグモーターをめぐる問題が新たな局面を迎えている。それは損害保険会社との“関係”だ。

損保ジャパン・白川社長の発言が波紋

ここに来て明らかになったのが、損害保険ジャパンの白川儀一社長のある発言。

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一度は中止していたビッグモーターとの取引について、“不正の可能性”を知りながら、2022年7月の役員会議で、取引再開を促す発言をしていたことが判明したのだ。

ビッグモーターはこれまで「損保ジャパン」から37人の出向者を受け入れてきたことに加え、損保ジャパンの前身となる会社には、兼重前社長の息子・宏一氏も一時期在籍していた。

元社員が証言する“損保”との深い関係性

ビッグモーターにとって保険会社はどのような存在なのか。FNNは、複数の元社員から証言を得ることができた。

元社員Aさん:
「保険を取れ」というのはめちゃくちゃ言われてたんですよ。損保ジャパンを使っていたんですよ、僕が一番長くいた店舗では。保険取れなかったら車売らんでいい、お客さん帰していいまで言われるんです。

ーー保険会社との関係性は深い?
そうですね、保険会社に1件でも保険を上げないとダメみたいな空気はありました。

ビッグモーターがいかに保険会社を重視してきたのかは『保険をとるために車を売る』と記載された経営計画書の文面からもうかがえる。

さらに、別の元社員Bさんは、“意外な場面”で保険会社との強いつながりを感じたと話す。

元社員Bさん:
年に2回ぐらいだったかな、“報奨旅行”というのがあるんですよ。

営業成績などが特に良かった社員などに与えられる海外への報奨旅行。Bさんも、グアムや台湾など複数回、この報奨旅行に参加したというが、その費用の一部を保険会社が支払っていたのではと話す。

元社員Bさん:
(成績)トップ何人かが海外旅行に行けますよって。その出資をしていたのが保険会社みたいだったんですね。保険会社がプレゼントしていたというのが、メールで流れてきた。

Bさんは、この海外旅行には数十人が参加、ビッグモーター幹部も含まれていたとも話す。

元社員Bさん:
大所帯で、成績優秀者の報奨旅行なのに、成績上位者はもちろんエコノミークラスで、本部の幹部連中はビジネスクラスですね。

ビッグモーターと保険会社の関係を示す証言は他にもあった。

西日本の店舗に勤務していた元社員のCさんは、「本当にしょっちゅう(保険会社が)店に来ていましたね。各営業に『保険の話ないですか?』とか、書類を(ビッグモーターの)社員が作ろうとしたら『もう代わりに私がやります』みたいな感じで、週に4日は来てましたね」と話す。

同じ保険会社から複数の人が、代わる代わる店にやってきたという。
さらに、Cさんは店内で次のような光景を見たと話す。

元社員Cさん:
“保険のマージンみたいなの”は、店長から各営業に現金支給というのはやっているの見たことがありますね。手渡しで封筒に入った状態ですけど。

損保ジャパン社長は記者から追及をかわす

ビッグモーターと保険会社との深い関係が注目される中、ことし6月まで、損保協会の会長も務めていた損保ジャパン・白川社長は、損保協会の会見の場で、ビッグモーターの不正請求問題における“自身の責任”を記者に追及されていた。

記者:
(損保ジャパンは)当初事務的なミスと早期に結論づけて、いち早く(ビッグモーターとの)取引を再開するという、不正請求に目をつぶるかのような初動対応。恥ずべき点はなかったのか?反省すべき点は何だったのか?白川さん自身はどう考えている?

白川社長:
えーっとですね、これは前もお話したと思いますけれども、保険会社としてお客さまや社会からの信頼は第一だと考えています。不適切な保険請求に対しては毅然(きぜん)かつ厳正な対処をすると…。

白川社長はこの時、「自身に反省すべき点は?」という記者の質問に直接答えることはなかった。

ビッグモーターと保険会社の間にいったい何があったのか。損保ジャパンはこの問題について、9月末までに記者会見を行うとしている。
(「イット!」 8月30日放送より)

※FNNでは「ビッグモーター不正問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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