「自宅にリモートワークスペースを作りたい」

テレワークなど、withコロナのニーズをつかんだ新たなサービスや商品が生まれている。

谷リサ子記者:
こちらの何もない空間にカメラをかざすと、キッチンが出現するんです。

ARを使ったリノベーションサービス
ARを使ったリノベーションサービス
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ARを使うことで、完成をイメージしながら自分好みの洗面台や壁、ドアなどが選べる、その名も「ARリノベ」。これは業界初のサービスだ。

利用客はタブレットで設置したいものを選択し、カメラを起動させる。

タブレットで設置したいものを選択
タブレットで設置したいものを選択

空間を認識させると画面上にはキッチンが出現。あとは操作して、置きたい場所に移動させてみるだけ。キッチンの奥側の様子も確認することができる。

このサービスは8割ほどが完成した物件で内覧し、残る2割を購入予定者が自由に設定できることから、こだわりつつもフルオーダーメードより短時間で入居できるのも特徴だ。

リノベる・三浦隆博統括執行役員:
自宅に関しての内装をもっとこだわりたいとか、自宅で仕事ができるようリモートワークスペースを作りたいなど、そういった問い合わせが増えている。自宅にいる時間があって、これからの暮らしを考える時間が増えたのかなと思っている。

リノベる・三浦隆博統括執行役員
リノベる・三浦隆博統括執行役員

のぞき込みや情報漏洩防止機能などを搭載

このようにwithコロナの時代に合わせて注目が集まる商品は他にも。NECパーソナルコンピュータが発表した新製品「LIVE Pro Mobile」は、テレワークに特化した機能が搭載されている。

NECパーソナルコンピュータ
NECパーソナルコンピュータ

例えば、社外で仕事をする場合、後ろから画面を見られる“のぞき込み”が気になったりするが、このPCではのぞき込みをされると、画面にそれを知らせてくれるアラートが表示される。

仕事に集中していても、内蔵カメラなどでのぞき込みを検知すると警告してくれる。

さらに、画面から視線をそらすと画面に自動でフィルターがかかるといった、情報漏えいを防ぐ機能が搭載されている。

画面から視線をそらすと自動でフィルターがかかる
画面から視線をそらすと自動でフィルターがかかる

また、マイクの位置をディスプレイの上部に配置することなどで、パソコンの周囲全ての音を鮮明に拾えるようにしたり、スピーカーの指向性を調整する機能も搭載するなど、オンライン会議に役立つ機能を搭載している。

重量も約890gと軽くて持ち運びやすいのも特徴だ。

NECパーソナルコンピュータ・河島良輔執行役員:
コロナ自粛のところで、在宅で使われる場面が多かったが、これからは場所を自分で選んで働くという形になると思う。外で使う場面が多くなると思い、セキュリティーや持ち運びの良さは、これから汎用的に合っている製品になっています。

NECパーソナルコンピュータ・河島良輔執行役員
NECパーソナルコンピュータ・河島良輔執行役員

NECパーソナルコンピュータによると、テレワークで使用されるパソコンのおよそ半分は会社からの支給。今後は、その支給されたパソコンと家庭用パソコン両方の需要がさらに高まるとみており、市場全体では1000万台程度の普及余地を見込んでいるという。

継続する需要か一過性のブームかの見極めも必要

三田友梨佳キャスター:
長内さんはソニーに勤めていた経験もあって商品開発にも詳しいですが、どうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
PCのテレワーク需要は非常に大きなチャンスだと思います。ただPCはとても難しいです。日本企業は製品の機能・性能に差を付けて他社よりも良いものを作ることが得意ですが、PCの場合、どうしても同じソフトやデータが使えるという、メーカーを越えて互換性を持っていることが重要です。

そのため標準化を進めるのですが、標準化を進めると価格以外に差がないので、価格競争に巻き込まれてしまう。しかし差異化をすると、今度は互換性が取りにくいという問題が起きてしまう。ですから、なかなか難しいところがあります。

三田友梨佳キャスター:
差異化、差別化という意味では、PCの差別化は今どういう状況なのでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
各社すごく知恵を絞っていて、例えばアップルはデザイン性やステータス性に訴えかけてコアなユーザーを巻き込んでいますし、日本のパナソニックは国内のビジネスシーンに合わせた、丈夫でバッテリーが長持ちするパソコンで一定のビジネスをエンジョイしてきています。今回のテレワークに特化したPCというのも新たな市場のチャンスだと思います。

三田友梨佳キャスター:
このチャンスを有効に活かすためには何が必要なのでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
チャンスに潜むリスクも考えなくてはいけないと思います。今はテレワーク需要で非常にPCの売り上げが伸長していると言われていますが、これが継続する需要なのか、それとも一過性のブームなのかを見極める必要があります。

マスク不足の時もなかなかマスクメーカーがすぐに増産に踏み切れないのは、設備を増強した時に一過性のブームだったらその後、工場が余ってしまう。そうすると経営を圧迫してしまいかねない。このPCに関しても、アフターコロナのマーケットがどれだけあるのか、見極めていくことがメーカーにとっては課題になると思います。

三田友梨佳キャスター:
なるほど。こうしたテレワーク需要はテレワーク特需と言ってもいいと思います。図らずもなかなか進まなかった働き方改革を加速させることになりました。テレワークに対応したパソコンの登場が中小企業などを含めて新しい働き方がさらに広がるきっかけになればと思います。

(「Live News α」6月17日放送分)