コロナ禍の規制が緩和された2023年春、「サクラのお花見」が戻ってきた。専門家の試算によると、花見シーズン2カ月の国内の経済効果は約6160億円。広島県内でも花見弁当や観光業が盛り上がりを見せている。
花見の経済効果は“1桁違う”
花見の経済効果について、関西大学の宮本勝浩名誉教授はこう話す。
関西大学・宮本勝浩 名誉教授:
私の試算では、今年2023年のお花見の経済効果は2カ月で約6160億円。コロナ禍の2倍から3倍くらいの経済効果が予想されます。コロナ禍前の水準にほぼ近づいてきたなと、非常に期待の持てるお花見になりそうです
宮本教授の話では、花見が経済に与えるインパクトは他のイベントに比べて“桁違い”だという。
関西大学・宮本勝浩 名誉教授:
バレンタインの経済効果と比べても1桁違います。日本中を沸かせたWBCでさえ、経済効果を計算すると596億円。もう全然違います。お花見の方がはるかに大きいです
花見弁当の注文数は3倍に
3月18日にサクラの開花が発表された広島県内でも経済効果が広がっている。花見弁当などを製造・販売するグルメサービスでは、弁当の内容を一新。花見を皮切りに今後の経済回復に期待を込める。
グルメサービス・徳本裕也 営業部次長:
昨年2022年に比べて、今年は3倍くらいの注文が入っています
グルメサービス・徳本裕也 営業部次長:
新たな気持ちでサクラを見ながら楽しんでもらいたいと思って、弁当も心機一転、作り直してみました。春らしい柄の重箱が3段の引き出しになった弁当もあります。また、広島名物のカキや広島菜の漬物を入れた弁当も用意しました
コロナ禍で苦境を強いられただけに、今後のイベント復活を追い風にしたい考えだ。
グルメサービス・徳本裕也 営業部次長:
コロナ禍はしんどかったですね。リスタートしたいです。今年は「ひろしまフラワーフェスティバル」もあると聞いていますし、イベントが増えて弁当が出ればと思っています
BBQ用品のレンタルも盛況
近年、急増する「お花見バーベキュー」。コロナ禍の2022年からバーベキュー用品のレンタル事業を始めた会社がある。
河川敷には6人分のアウトドアチェア、テーブル、コンロ、焼き網、トング、木炭などバーベキューに必要なもの一式がセッティングされている。さらに紙皿や紙コップ、ウェットティッシュ、ゴミ袋なども付いている。気になるレンタル料は…
激安BBQ魂・森岡海斗さん:
1人1300円なので、6人なら7800円。テントのレンタルはオプションで1000円です。実際に利用される時は予約時間までに火をおこして準備します
このサービスでは道具を配達・セッティングして、終われば片付けもやってくれる。ユーザーはゴミを分別するだけで、あとは業者が回収するシステム。予約の手応えは昨年の2~3倍だという。
激安BBQ魂・森岡海斗さん:
今年は1日に5~6件は予約の電話がかかってきます。もう予約がびっしり埋まってきている感じです
全国が“花見の恩恵”に包まれる
行動制限のあったコロナ禍で大きなダメージを受けた観光業はどうだろう。
阪急交通社 広島支店・齋藤敬至 係長:
コロナ禍ではツアーの募集活動そのものができなくなって、店舗の営業もできないような状況でした
緩和の兆しが見えた今年は「花見ツアー」の募集を年明け早々から始めた。すでにほぼ完売の状況だ。
阪急交通社 広島支店・齋藤敬至 係長:
旅行のコースを増やし、4月だけで見ても昨年の同時期と比較にならないほど多くの予約をいただいています。コロナ禍前の2019年度を超える予約状況です
花見シーズンの後にも期待を寄せている。
阪急交通社 広島支店・齋藤敬至 係長:
コロナ禍ではできなかった“富士登山”や“尾瀬”のツアーもかなり回復してきています。花見の後も非常に期待できるのではないかと見ています
関西大学の宮本教授は、花見の経済効果は都市部など一部に偏らず、国内全体に恩恵をもたらすと話す。
関西大学・宮本勝浩 名誉教授:
お花見シーズンの2カ月ほどの間に、九州から広島を通って大阪、東京、そして北海道まで全国一体でこれだけ大きな経済効果をもたらすのは素晴らしいことだと思います
桜前線に続いて、南から北へのびる「お花見前線」。サクラの美しさを五感で楽しめる花見は、日本人の心だけでなく経済にも潤いを与えてくれそうだ。
(テレビ新広島)