「底辺ネトウヨと同じ解説委員」と匿名の誹謗中傷

ネットでの匿名の誹謗中傷がなぜつらいのか。これをやられたことのない人はわからないと思う。僕のように大して有名でなく、従ってフォロワーも少ない人間のところにも、ちょっと変わった発言や文章に対する匿名の誹謗中傷はたくさん来る。

最近では新潟の会社員(もちろん匿名)から「どう転んでも底辺ネトウヨと同じ発信しかできないおじさんがいまだに解説委員をやっているフジテレビがかわいそう」という投稿があった。「なんだ大したことないじゃないか」と思われるかもしれないが、僕のようなオジサンだってこういう発言にへこむのだ。

暗闇で殴られるような恐怖

実は面と向かって、あるいは正体がわかっている人から悪口を言われても、「なんだこの野郎、もう一度言ってみろ」とけんかすればいいので、ストレスはたまらない。反論できれば別に何を言われても構わない。

これが匿名だと怒りの持って行きようがない。暗闇で誰かわからない相手からひたすらぶん殴られているような恐怖を感じるのだ。

今回プロレスラーの木村花さんが亡くなったことについて、高市総務相は悪質な投稿の発信者を特定しやすくする制度を検討することを明らかにした。

悪質な投稿の発信者を特定しやすくする制度を検討するとした高市総務相

ネットによる被害は深刻だが、被害者がプロバイダーなどに削除を請求しても、『表現の自由』との兼ね合いがあり、削除に応じないケースの方が多いし、発信者の特定も難しい。だから微妙なケースでは被害者が泣き寝入りすることの方が多いと言われている。

『表現の自由』を錦の御旗に人を殺すな

今回自民党はネットの誹謗中傷対策を検討するプロジェクトチームを発足させたが、座長の三原じゅん子女性局長は「ネットは無法地帯化している。批判と誹謗中傷は全く違うと示していく」と述べ、法改正して規制を強化する考えを明らかにした。

ネットの誹謗中傷対策を検討するプロジェクトチームの座長を務める三原じゅん子局長

こうした動きに対しさっそく「批判を書かれた企業や公人などが乱用する恐れがある」とか「通信の秘密保護と被害救済のバランスを見極めろ」などとくぎを刺す人たちがいるのだが、人が何人も死んでるのにバランスも何もないだろう。

『表現の自由』を錦の御旗にして人を殺すのはもうやめた方がいいのではないか。

【解説:フジテレビ 解説委員 平井文夫】