安倍さんはいつも逃げ足が速い
安倍政権が検察庁法改正案の採決を断念した。
この記事の画像(4枚)先週末に与党関係者に聞いた時には「時間はかけるが採決する」ということだったので急な方針転換には驚いたが、この政権が長く続いている理由はまさにこういうところで、一強と言われながら、引くべき時にはすぐ引く。「逃げ足が速い」のだ。
断念の理由についてメディアは
① Twitter による抗議がすごく
② 支持率が下がり
③ このままでは2次補正の成立に支障が出る、
からだと説明していたが全部違うと思う。
なぜなら
① Twitter については本当に数百万人の人が投稿したかは意見が分かれている
② この手の話だと支持率は下がっても必ず戻る
③ 野党がこの新型コロナの状況で2次補正を妨害するとは思えない
からだ。
安倍さんは秘密保護法や安保法制など、野党や一部メディアがいくら批判しても、この国に必要だと思う法律は作って来た。検察庁法改正は必要とは思わなかったのだろうか。
その理由はすぐにわかった。
今回の改正は「公務員の定年を65歳まで延ばす」という公務員法改正とのセット。定年後の公務員の給料は60歳までの現役時の7割だそうである。
枝野さんはホントは強行採決してほしかった?
おい!ちょっと待て。7割?ずいぶん多いな。民間企業では実質65歳まで定年延長されてるが7割もらえるところなんかない。でも立憲民主の枝野代表に「火事場泥棒」と呼 ばれた安倍さんは全部の法案を継続審議にしてしまった。そうすると定年が延びるはずが延びなくて公務員の組合などは怒っているらしい。
枝野さんたちの本音は「検察庁法をやめて公務員法だけ通してほしいが、両方強行採決でも内閣支持率が下がるからまあいいか」ということだったのだろう。だから安倍さんの「両方ともやめる」という判断は実はとっても嫌なのだ。
なぜ公務員だけ定年が延びるのかという疑問
安倍政権というのは「逃げ足が速い」だけでなく「敵が嫌がることをする」のもうまい。
早速参院幹事長の世耕さんが昨日の会見で「公務員だけ定年延長されていいのか、立ち止まってしっかり議論することが必要」と述べ定年延長自体に異論を唱えた。
世耕さんはこういうところが実にウマい!
確かに新型コロナで職を失い、店を失う人がいる中で、公務員だけがさらに 5年間も税金から給料をもらい続けることに疑問を持つ人は多いだろう。秋の臨時国会でこの問題は再び議論されるが、公務員の定年延長自体もどうなるかわからなくなってきた。
検察庁法の改正を今回断念した本当の狙いがそこだったとしたら、安倍さんは結構コワい人だと思う。
【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】