PCR検査の結果が判明する前に死亡した50代男性

加藤綾子キャスター:
東京・世田谷区で、単身赴任の50代の会社員の男性が新型コロナウイルスに感染して、死亡したことが分かりました。
男性は保健所に電話しようとしましたが、つながらずその後死亡しました。PCR検査の結果が出たのは亡くなった後でした。

加藤綾子キャスター:
PCR検査をめぐっては、コロナ対策推進室の職員が感染し、所管する西村康稔経済再生担当相が、念のためPCR検査を受けたことが、ネットでやり玉に挙げられる騒ぎも起きています。これについて西村康稔経済再生担当相は「危機管理の観点から医師と相談し、自費でPCR検査を受けました」と話しました。

加藤綾子キャスター:
PCR検査を受けられる人と受けられない人について、別所さんはどうお考えですか。

別所哲也氏:
市民のレベルで考えると、PCR検査を受けたいのに受けられない。保健所も一生懸命やってくださっているでしょうけど、パンクしている。こういう気持ちから考えたら、なぜ優先されるのかと感情的になってしまうことは分かります。
ただ危機管理というところで、ある程度の立場の方々がPCR検査を必要とするのであれば、法律を決めるなり、ルールを決めておく。自費であればいいということではなく、これはむしろ公費でもいいと思います。公費であっても危機管理の観点から許される人は誰で、そしてどのような手続きを踏めばいいのかということを、堂々と情報公開されるような仕組みが必要だと思います。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
やはりパンデミックと戦う時は、ある程度新しい治療法、診断法もしくはワクチンが出来た時に一挙に普及することは難しいです。
社会のインフラを守る・治安を守る、あるいは医療従事者という風に順序を決めて提供していくので、このようなオペレーションですと、こういった責任者の方が若干優先されることは仕方ないと思います。

加藤綾子キャスター:
世田谷区の50代の男性についてはいかかがでしょうか。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
4月9日にようやく医師からの紹介された保健所でPCR検査を受けたということですよね。恐らくその前に症状があったのではないか。そこで保健所に連絡したが、つながらなかった。決して保健所もサボっているわけでもなく、業務が多すぎて中々対応が出来ないというのが、現状だと思います。
それからもう一つはPCR検査をしても結果がでない、返ってくるのに時間がかかる。世田谷区の男性も、2日目以降にPCR検査の結果が返ってきているわけですが、PCR検査は本来半日で結果が出ます。PCR検査をしてもらうこと、その結果が早く返ってくるということを改善しないとこのようなことが起きます。

風間晋フジテレビ解説委員:
この男性は明らかに、正直に保健所に連絡しようとして、保健所が十分に機能していなかったという結果でした。世田谷区は電話回線を3本から6本に倍増したということですが、都内の保健所はどこもパンク状態。
それなのに行政が、「まずは保健所へ」というのはどうなのかなと思ってしまいます。
3月6日からPCR検査の保険適用が始まっています。
PCR検査はオンライン診療経由のチャンネルをメインにして、その保健所の負担を軽減した上で、保健所の体制を立て直すべきではないかと私は思いました。

加藤綾子キャスター:
こちらについて二木先生はどうお考えでしょうか。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
基本的には保健所がやっているのはいわゆる行政検査ということで、地方衛生研究所ですとか感染研究所などでやっておられるわけで、ここのキャパシティがなかなか増えないというのが問題です。
それでようやく保険診療で認められるようになりましたので、一般のいわゆる民間の検査会社が参入してきています。ですからようやく最近になって医師会さんが、PCRセンターを作ってそこで検体を取るようにして、少し検査を積極的にできるような体制を作られつつあります。
ただやはり検体を取れても、さっき言ったように、なかなか検査をするというキャパシティが上がってこないので、どうしても検査の結果が遅れるというところに悪循環があるのだと思います。

街の人たちから不安な声も…

加藤綾子キャスター:
PCR検査はなぜ受けられないのでしょうか。
街では、今回亡くなった世田谷区の50代の男性や西村大臣のPCR検査についてさまざまな意見があるようです。

ーーPCR検査が受けられないことについてどう思いますか。

30代女性:
それは本当に怖いですね。保健所に電話がつながらなかったら、どうしようもない。不安でしかない。医療崩壊じゃないですけど、結構大変な事態になっていると思っているので。

40代男性:
検査の体制っていうのが、いくつかの枠組みがあったほうがいいかもしれませんよね。

40代女性:
皆さんやっぱり同じ気持ちで怖いんだと思いますし、一刻も早く検査を受けたいなという気持ちはわかります。

ーー西村経済再生相の件についてどう思いますか。

50代女性:
PCR検査を受けたいって言った人は、全員受けられるようになるといいなと思いますね。国の中枢を支える方は先に検査するってのは分かりますが、ここで何かこう命の重さが図られているかなっていう気はしましたね。

加藤キャスター:
「電話がつながらないのは、やはり不安しかない」これはもう本当にそうですよね。一刻も早く受けたい気持ちもあると思います。
4月14日にPCR検査数について取り上げた時は、実現可能数は約1万2800件だった。4月25日の時点では、さらに増えまして、1万5555件となっているのです。
では実際にどれぐらい検査が行われているのかといいますと、4月16日から25日までの間で一番多い日が9357件。遡ってもはまだ1万件を超えた日はないんですよね。実現可能な数が増えているのに、何で検査する数が増えないのでしょうか。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
検査をするための機械とか試薬とか、そういうのは日本全国で1万5000あり、それが無駄なくやれればそれだけできるんですが、当然地域にもばらついていますし、もう1つの問題点はそれを操作する人がいないから。車の運転者がいないというところがあります。
だから検体を取っても、それが検査されて結果が返ってくるまで先ほどの人もそうですけれども、時間がかかることが1つの問題ですね。

なぜPCR検査を受けることが難しいのか

加藤綾子キャスター:
前回このテーマのときも二木先生は検査が増えない理由について、医療現場や保健所の人手不足、そして最初は条件にこだわっていた。嗅覚障害や異常があっても検査条件に入っていないためと、おっしゃっていました。
あれから2週間近く経ちまして、状況はまだ変わっていないということです。

昭和大学医学部客員教授 二木芳人氏:
結局、保健所がやる検査はどうしても重症の人を見つけて、そういう方を治療に回すという方針は変わっていないのです。
ただ先ほどから出てくるように、比較的軽い方とか従来の定義に合わない人でも、新型コロナウイルスの感染を疑わないといけない人が最近はっきりしてきました。ですから、そういう人たちを検査するために、最近医師会さんがPCRセンターとかいうのを作られて、そこは保健所とは別ルートで検査をされるようにしています。医師が検査した方がいいよという方はそこに行くんですね。
そこからいわゆる民間の検査にまわります。ここのキャパシティが確か3000~4000ぐらいはあると思います。
少しずつ変わりつつありますけれども、一気にこの数を2倍、3倍というふうには、なかなかいかないので、いくつか考えられていることがあるというのが現状です。

風間晋フジテレビ解説委員:
僕はゲームチェンジャーが必要だと思っていて、政府は今までに簡易検査キットの開発に何回も言及しているんですよ。安倍首相も3月中をめどに号令したこともあるわけですが、あれは一体どうだったんだろうと思ってしまいます。

別所哲也氏:
まさにゲームチェンジャーという意味では、例えば保健の先生とか看護師とか、点滴や採血できる人が権限を許されてできるようにするとか、受け皿の調べる方々も含めて考えるべきだと思います。

加藤綾子キャスター:
PCR検査の拡充とそのための環境整備をお願いしたいと思います。

(「Live News it!」4月28日放送分より)