世の中には、何が起こっても穏やかに満面の笑みをたたえている人がいる。

一方、些細なことで大噴火のように怒る人もいる。この違いはどこにあるのだろうか。

心理カウンセラーの大嶋信頼さんに、怒りっぽい人の性質を聞くとともに、怒りを感じにくくする方法を教えてもらった。

心理カウンセラー・大嶋信頼さん

怒りやすくなる原因は、右脳と左脳をつなぐ「脳梁」の不具合の場合も

「現代人は怒りっぽい人が増えていますが、その原因の一つは右脳と左脳をつなぐ『脳梁(のうりょう)』にあると考えられます。脳梁の動きがスムーズな人は怒らない。なぜなら、右脳と左脳が正常に働き、相手の言動を多角的に捉えられるからです」

例えば、話している相手がウソをついた場合、空間認識を行う右脳は、表情や動作からウソを検知する。それが言語や論理的思考を担う左脳にも伝わり、ウソを的確に判断できるため、「また、そんなこと言って」と、受け流せるのだ。

脳梁がうまく働かないと、左脳だけで論理的に考えてしまうため、表情などを加味せずに相手の言葉だけを真に受け、怒りを感じてしまうというのだ。

「ストレスやウソにさらされていると、ストレスホルモンのグルココルチコイドが分泌されたままになり、脳梁が正常に働きにくくなります。その結果、左脳だけで物事を考えてしまい、相手の言葉や態度がいちいち気になり、さらにストレスがかかって、一気に爆発しやすいのです」

怒りっぽい人の脳内は「てんかん発作」と同じメカニズム

怒りっぽい人ほど、自覚がないことも多いように感じるが、それも脳の働きが関係しているという。

「怒りの感情は、てんかん発作にも近いです。てんかん発作は、右脳と左脳のどちらかを使いすぎることで電圧の差が生じ、過剰な電気信号が流れることで起こります。そして、てんかん発作が起きた時の記憶はなくなっているのです。同じように、脳梁がうまく働かないことで、右脳と左脳に電圧の差が生じて怒りの感情が出てきてしまうので、その間の記憶は飛びやすいといえます」

怒りっぽい人に「この間、こんな風に怒っていた」と話しても、「そんなこと言ってないぞ」と言われることがあるかもしれない。しかし、記憶がないのであれば、その返答も仕方がない。とはいえ、怒りの感情を受け止めるのは、本人ではなく周囲。改善させる方法はないだろうか。

「怒っていた時の話をして、『自分は“怒り”の発作持ち』と自覚させましょう。怒りっぽい人自身が自覚を持つだけで、怒りの発作は収まっていく可能性があります」

怒りっぽさ改善テクニック「否定せずに寄り添うこと」

怒りっぽいことを伝える時は、責めるのではなく、寄り添うことが大事とのこと。

「怒りっぽさに拍車をかける要因の1つが『孤独』。自分は周囲から嫌われている、問題視されているという考えを抱くと、怒りの発作が起きやすくなります。周囲が責めると、余計に孤独を感じやすくなるので、『みんな同じように怒ることはあるし、発作なんだって』と伝えてあげましょう」

「怒りっぽい」と言われた側も、自分を責めないことが、怒りを抑える近道。

「自己肯定感を下げてしまうと、存在しないはずの悪口や冷たい視線が気になり、孤独を感じてしまいます。だから、自分を責めないことが大事。発作が起きているだけなんだと、問題を外在化すれば、責めなくなると思います」

怒りっぽいが故に周囲から敬遠され、孤立してしまう人がいる。しかし、その人に本当に必要なものは、受け入れてくれる存在。もし、身近に怒りっぽい人がいたら、話を聞き、肯定してあげよう。平穏な人間関係が築けるはずだ。


大嶋信頼
株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニック他に勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として依存症に関する対応を学ぶ。著書に、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる本』『ちいさなことにイライラしなくなる本』など多数。

インサイト・カウンセリング:
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取材・文=有竹亮介(verb)

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